防災備蓄診断

公開 2026-09-07

在宅避難の準備:避難所に行かない選択をするために必要なもの

自宅が無事なら在宅避難も選択肢です。在宅避難を成立させる条件と、避難所前提の備蓄との違いを解説します。

在宅避難とは

在宅避難とは、自宅が倒壊・浸水・火災のおそれのない状態なら、避難所へ行かず自宅で生活を続けることです。内閣府は、安全な場所にいる人まで避難所へ行く必要はないとし、東京都も、自宅で生活を続けられる状況なら在宅避難をすすめています。

東京都は、大きな地震が起こっても居室で生活ができる場合は「在宅避難」という選択肢もあるとし、在宅避難ではプライバシーが守られる、ペットや幼い子どもなどの個別のニーズにも対応しやすい、といったメリットを挙げています(東京都「マンション防災はみんなで『備える』、避難は『とどまる』」2025年9月)。

在宅避難ができる条件

在宅避難は「したい」ではなく「できる状態にしておく」ものです。次の3点が揃っているかを確認してください。

在宅避難ができるかは、3つで決めます

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在宅避難の可否を決める3つの条件建物が無事、浸水と土砂のおそれがない、火災のおそれがない。すべて満たせば在宅避難、1つでも欠ければ避難所へ。1建物が無事か傾き・大きなひび・ドアの開閉2浸水・土砂のおそれがないかハザードマップで確認3火災のおそれがないか近隣の出火・ガスのにおい3つとも満たす在宅避難ができます1つでも欠ける避難所へ向かいます在宅避難でも、水・トイレ・情報は自力で確保することになります。備える量は避難所前提より多くなります。
1つでも当てはまらなければ避難所へ向かいます。判断に迷う状態なら、明るいうちに避難するほうが安全です。建物の被害は外から見ただけでは分からないこともあります。

出典:防災備蓄診断 編集部作成

  1. 建物が安全:1981年6月以降の新耐震基準で建てられているか。浸水想定区域・土砂災害警戒区域に入っていないか(重ねるハザードマップで確認)。
  2. 室内が安全:家具が固定されているか。寝室に倒れてくる家具・落ちてくる物がないか。ガラスの飛散対策があるか。
  3. ライフラインなしで生活できる備蓄がある:電気・水道・ガスが止まった状態で、最低3日、できれば7日過ごせるか。

1と2が満たせないなら、備蓄を増やす前に家具固定と避難先の確認を優先してください。

避難所前提の備えと何が違うか

観点避難所前提在宅避難前提
量背負って歩ける量家に置ける量(7日分)
水背負える分だけ1人1日3L×日数
トイレ数回分1人1日5回×日数
調理避難所の配布に頼る分、少なくて済むカセットコンロ・ボンベ
照明懐中電灯ランタン+懐中電灯
情報ラジオラジオ+スマホ電源

在宅避難は「量」と「生活の質を保つ品目(トイレ・調理・照明)」が増えます。特にトイレは、日数分の回数がそのまま必要になるため、避難所前提の備えのままだと足りなくなりやすい品目です。

マンションでの在宅避難の注意点

  • 停電で断水することがある:ポンプで水を上げている建物では、停電すると水が出なくなることがあります(東京都)。給水所から水を運ぶ給水袋があると運べます。
  • エレベーターは止まる:高層階では水や物資の運搬が重労働になります。高層階では運ぶ回数を減らせるよう、家の中の備蓄を厚めにしておくと安心です。
  • トイレを流してはいけない場合がある:排水管が傷んでいることに気づかずに流すと、下の階に逆流するおそれがあります(東京都)。管理組合の「排水管の安全確認が済むまで流さない」ルールを確認しておきましょう。携帯トイレの必要性がここでも高まります。
  • 共用の備蓄だけに頼らない:管理組合の備蓄の量と中身を確かめ、各戸でも備えておきます。

ベランダの避難経路は、買うものではなく確認するもの

在宅避難ができないと判断したときのために、ベランダからの逃げ道を先に見ておきます。ここは費用がかからないぶん、後回しにされがちです。

マンションのベランダには、次の2つがあることがあります。

  • 避難ハッチ:床にあるふたを開けると、下の階へ降りるはしごが下ります。
  • 隔て板(蹴破り戸):隣の住戸との仕切りで、非常時は破って隣の住戸へ避難できます。

確認するのは3つです。

  1. 自分の住戸に避難ハッチがあるか、隣のどちら側に隔て板があるか
  2. ハッチの上に物を置いていないか。 エアコンの室外機や物置がふたの上にあると開けられません
  3. はしごが下りてくる真下の空間が空いているか。 下の階のベランダに物があると、はしごが伸び切らず降りられません

この3つは、買い足すものが何もないのに避難の成否を分けます。家族でベランダに出て、一度見ておいてください。

4階以上に住んでいる場合は、建物側の避難設備(避難ハッチなど)を使えるようにしておくことを優先してください。 消防法施行規則は、建物に設ける避難器具の基準として、4階以上の階につり下げはしごを設けるときは、金属製で、バルコニーなどに設け、取付け具を避難器具用ハッチにすることとしています(落下を防ぐ措置があるものを除く。第27条第1項第5号)。高層階では、買い足すのではなく建物の避難設備を使えるようにしておくことが備えになります。

在宅避難の備蓄チェック(優先順)

  1. 飲料水(1人1日3L×日数)
  2. 携帯トイレ(1人1日5回×日数)
  3. 食料(1人1日3食×日数。加熱しなくても食べられるものも入れておく)
  4. カセットコンロとボンベ
  5. LEDランタン・懐中電灯・電池
  6. モバイルバッテリー
  7. 給水袋(運べる大きさのもの)
  8. 家具固定・ガラス飛散防止(備蓄ではなく事前対策)

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