公開 2026-10-16
防災ヘルメットと防災頭巾の選び方:折りたたみ式の収納と子ども用のサイズ
地震の負傷者の3〜5割は家具の転倒・落下によるけがです(東京消防庁)。ヘルメットと防災頭巾で守れるものの違い、「飛来・落下物用」などの区分の表示、折りたたみ式の収納、子ども用のサイズ調整、1人1つという数の考え方までまとめました。
頭を守る道具は「いつかぶるか」から選ぶと決まります
地震のけがは、揺れそのものよりも、倒れてきた家具や落ちてきたものが原因になることが多いです。東京消防庁の調査では、近年の地震の負傷者のうち3〜5割が、屋内での家具類の転倒・落下・移動によってけがをしていました。頭は、ほんの小さなものが当たっても困ることになる場所ですね。
防災用品のリストには「ヘルメット」と「防災頭巾(防災ずきん)」が並んで出てきます。この2つは守れるものが違い、置ける場所も違います。どちらが合うかは、家族の誰が、どこで、どんな場面でかぶるかで決まります。
もうひとつ先に書いておくと、ヘルメットは数がそろっていないと意味が薄れます。1つを家族で取り合うことはできませんから、「1人1つ」を前提に、置き場所と収納のしやすさから選んでいきましょう。
判断の軸
1. ヘルメットと防災頭巾の違いを押さえる
おおまかに言えば、硬い帽体で衝撃を受け止めるのがヘルメット、布で頭から首・肩までを覆うのが防災頭巾です。
- ヘルメット:上から落ちてくるものを帽体と内部のすき間で受け止めます。屋外に出るとき、片付けをするときに向きます。かさばるぶん、置き場所を決めておく必要があります。
- 防災頭巾:破片やほこり、小さな落下物から頭と首まわりを守ります。たためて軽く、子どもや高齢の方でも自分でかぶれます。硬い帽体がないので、重いものの衝撃を受け止める力はヘルメットにかないません。
学校で座布団と兼用にしてきた経験から、防災頭巾は「ふだんから手の届く場所に置ける」のが強みです。家の中でまず頭を覆うなら頭巾、外に出るならヘルメット、という使い分けが現実的です。
2. 表示されている区分を見る
仕事で使う保護帽には、国の規格(昭和50年労働省告示第66号)があり、登録型式検定機関の型式検定に合格したものでなければ使えないことになっています。区分は「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」などに分かれています(厚生労働省)。
この規格は職場の保護帽についての決まりですが、家庭向けに売られているヘルメットでも、同じ区分の表示があるものがあります。地震で想定したいのは、上から落ちてくるものと、転んで頭を打つことの両方です。表示が「飛来・落下物用」だけなのか、「墜落時保護用」も兼ねているのかを見ておくと、使える場面がはっきりします。
防災頭巾には国の規格がありません。選ぶときは、燃えにくい加工をしてあるかどうかの表示と、頭から肩までを覆う長さがあるかを確かめます。
3. 折りたためるか、形がそのままか
ヘルメットには、帽体を平らにたためるタイプと、形がそのままのタイプがあります。
- 折りたたみ式:使わないときは数センチの厚みになるので、玄関の収納や引き出し、デスクの足元に入ります。置き場所に困らないぶん、いざというときに組み立てる手間が1つ増えます。買ったら一度組み立てて、暗い中でもできるか試しておきましょう。
- 形がそのままのタイプ:かぶるだけで済むので早いです。重ねて置ける形なら、家族分を下駄箱の上などにまとめられます。
どちらが向くかは収納場所で決まります。玄関に置き場所が取れるなら形がそのまま、取れないなら折りたたみ式、という分け方で迷いが減ります。
4. 子ども用は「サイズ調整」と「自分でかぶれるか」
子ども用を選ぶときに見ておきたいのは、頭まわりのサイズ調整の幅と、あごひもの留め方です。大きすぎるものは揺れたときにずれて視界をふさぎますし、あごひもが固いと自分で留められません。
成長を考えると、調整の幅が広いものを選ぶほうが長く使えます。小さなお子さんなら、まずは防災頭巾を本人のロッカーや寝室に置き、外に出る場面では大人がヘルメットをかぶせる、という組み合わせでもかまいません。かぶる練習を一度しておくと、当日の動きが変わります。
5. 置き場所から、数と形を決める
頭を守る道具は、取りに行けない場所にあると出番がありません。置き場所の目安は次の3か所です。
| 置き場所 | 想定する場面 | 向いているもの |
|---|---|---|
| 寝室の枕元 | 夜中の揺れ。起きてすぐ頭を覆う | 防災頭巾、または折りたたみ式を枕元の箱に |
| 玄関 | 外へ出る、様子を見に行く、片付ける | ヘルメット(家族の人数ぶん) |
| 勤め先・学校 | 外出先で被災する。帰り道の落下物 | 折りたたみ式。机の下やロッカーに |
防災備蓄診断では、ヘルメット・防災頭巾は人数ぶんという数え方で出しています。非常用持ち出し袋の中身でも書いたように、かさばるヘルメットは袋の中ではなく、袋の近くや外側に留めておくと取り出しやすくなります。
6. 期限と点検
樹脂は時間とともに固くなり、ひびが入ることがあります。製品の説明書には交換の目安が書かれていることが多いので、買ったときに確かめて、本体の裏などに製造年月とあわせてメモしておくと迷いません。
一度強い衝撃を受けたものは、見た目に問題がなくても内部が傷んでいる可能性があります。年に1回、帽体のひび、内側のハンモック(頭に当たる部分)のほつれ、あごひもの劣化を見ておきましょう。防災頭巾は、しまい込んで湿気を吸うと生地が弱るので、ときどき風を通します。
店舗・事務所の場合
店舗や事務所では、頭を守る道具が「どこにあるか全員が知っている」状態になっているかが分かれ目になります。倉庫の奥にまとめて箱で置いてあると、揺れたあとに取りに行けません。人数ぶんを各自の足元やロッカーに分けて置き、年に1回の点検を防災訓練と同じ日にまとめると続きます。来客のいる店舗では、スタッフのぶんに加えて予備を数個置いておく考え方もあります。
基準を満たすタイプの例
順位ではなく、上の軸で分けたタイプの例です。どれが合うかは、置き場所とかぶる人で決まります。
| タイプ | 向いている状況 | 見ておく点 |
|---|---|---|
| 折りたたみ式のヘルメット | 置き場所が取れない。勤め先や机の下にも置きたい | たたんだときの厚み、組み立ての手順と時間、表示されている区分 |
| 形がそのままのヘルメット | 玄関に置き場所がある。かぶる早さを重視する | 重さ、サイズ調整の幅、重ねて置けるか |
| 子ども用のヘルメット | 子どもと一緒に外へ出る場面がある | 頭まわりの調整幅、あごひもを自分で留められるか |
| 防災頭巾 | 寝室や学校に置く。自分でかぶれることを重視する | 肩まで覆う長さ、燃えにくい加工の表示、たたんだ大きさ |
このサイトでは、実際に使っていない製品の使用感は書いていません。最後は仕様の表示で、頭まわりのサイズと区分が使う人に合うかを確かめて選んでください。
補助金を使えることがあります
自治体によっては、防災用品の購入費を補助する制度があります。当サイトが2026年9月に全国の自治体の公式ページで確かめた防災用品の補助制度51件のうち、ヘルメットや防災頭巾を対象に挙げているものが6件ありました。静岡県下田市の防災用のヘルメット・救命胴衣の購入費補助は1つにつき2,000円、和歌山県串本町の救命胴衣等購入補助制度は購入金額の2分の1・上限3,000円です。ほかに、備蓄食料や懐中電灯とまとめて「防災用品」として補助する制度の対象品目に、ヘルメットが入っていることがあります。
気をつけたいのは、「購入の前に申請して、交付決定を受けてから買う」ことを条件にしている制度が多い点です。先に買うと対象外になるので、お住まいの自治体の手順を先に確認してください。神奈川県の制度は防災の補助金・助成金にまとめています。
次にやること
- 家族の人数を数えて、足りないぶんを書き出す。1人1つが目安です。子どものぶんは頭まわりのサイズも測っておきます。
- 置き場所を3か所決める。寝室の枕元、玄関、勤め先や学校。場所が決まると、折りたたみ式かどうかも決まります。
- 届いたら一度かぶってみる。折りたたみ式は組み立ての手順を、子どものぶんはあごひもを自分で留められるかを確かめます。点検した日をメモしておくと、次の目安になります。
家具の固定や寝室の安全と合わせて考えると、頭を守る備えは効きが変わります。家族の人数と住まいからの必要な備えは、防災備蓄診断で数量まで出せます。
参考資料
- 東京消防庁「地震から命を守る家具転倒対策」(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/bou_topic/kaguten/)
- 東京消防庁「地震に対する10の備え」(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/bou_topic/jisin/sonae10.html)
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」保護具(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo27_1.html)
- 各自治体の防災用品購入補助の公式ページ(当サイトの補助金一覧に出典を記載)