防災備蓄診断

公開 2026-09-29

非常用持ち出し袋の中身リスト:入れるもの・入れないものを重さで決める

非常用持ち出し袋は避難先まで歩くための袋で、家に置く備蓄とは役割が違います。水は1Lで約1kg。背負って階段を上り下りできる重さから中身を決める考え方と、家に置くほうがよいもの、家族ごとに足すものをまとめました。

「持ち出す袋」と「家に置く備蓄」は別のものです

防災グッズをそろえようとすると、つい一つの袋に全部入れたくなります。でも非常用持ち出し袋は、家を出て避難所や親戚の家まで歩くための袋です。家で数日過ごすための備蓄とは、役割が違います。

ここを分けないまま詰めていくと、背負えないほど重い袋ができあがって、結果として玄関から動かないままになりがちです。この記事では、袋に入れるもの・入れないものを「重さ」と「家に置いても困らないか」という2つの軸で整理していきます。

中身は品目より先に、重さの上限から決まります

最初に決めるのは品目ではなく重さです。目安になるのは、その袋を背負って階段を上り下りできるか。エレベーターが止まっている前提で、詰めたあとに一度背負って歩いてみるのが、いちばん確実な確認方法ですね。

重さの感覚をつかむのに分かりやすいのが水です。水は1Lで約1kgあります。備蓄の目安は1人1日3L(備蓄は何日分必要か)ですが、3日分の9Lを袋に入れると水だけで9kgになります。これでは、階段も夜道も歩けません。

ですから持ち出し袋の水は、歩いて運べる少量にとどめて、残りは家に置いておきます。農林水産省は、発災当日の備えとして「水1リットル+調理不要な非常食3食」を挙げ、1日分程度の非常食を持ち出し袋に入れておくよう示しています。大阪府は、持ち出し品の重さの目安を男性で15kg、女性で10kg程度とし、自分で持って避難できる量にするよう呼びかけています。**袋は「移動するための最小限」、家の備蓄は「生活するための必要量」**と分けて考えると、中身がすっと決まります。

入れるもの:3つの層に分けて考える

1. 体と安全を守るもの

  • ヘッドライトか懐中電灯(両手が空くヘッドライトのほうが動きやすいです)
  • 軍手・厚手の作業用手袋
  • ホイッスル
  • 雨具(かさより、両手が空くレインウェア)
  • 防寒・保温シート
  • ヘルメットか防災頭巾(袋の中ではなく、外に留めておくと取り出しやすいです)

2. 一晩から数日をしのぐもの

  • 水(歩いて運べる少量)
  • そのまま食べられる食料を1〜2食分
  • 携帯トイレを数回分(避難所のトイレは混みますし、断水していれば使えません)
  • ウェットティッシュ・体拭きシート・タオル
  • マスクと大きめのポリ袋(ごみ用のほか、雨具や敷物にもなります)
  • モバイルバッテリーと充電ケーブル

3. 身元と連絡のためのもの

  • 現金(小銭を含む。公衆電話用の10円玉も少し)
  • マイナンバーカードや運転免許証のコピー
  • お薬手帳のコピー
  • 家族の連絡先と待ち合わせ場所を書いた紙(スマホの電池が切れても読めます)
  • 自宅周辺の地図(避難先に印を付けておく)

避難先そのものが決まっていないと、袋があっても動けません。国土交通省の重ねるハザードマップで自宅の想定リスクを確認し、徒歩で行ける避難先を先に決めておきましょう。

市販の防災セットを土台にするのも手ですが、水・食料・携帯トイレは足りないものが多いので、買い足す前提で考えます。判断の軸は防災セットの選び方にまとめました。

入れないもの:家に置いておくほうがよいもの

「あると便利」で入れたものが、そのまま重さになります。次のものは、袋から出して家の備蓄に回すほうが、どちらの役目も果たせます。

袋に入れないもの理由どうするか
3日分の水・食料水だけで9kgになり、背負えなくなる家の備蓄に。袋は1日分未満でよい
大型のランタン・ポータブル電源重さとかさが大きい在宅避難用として家に置く
カセットコンロとボンベ避難所で火を使えるかは施設の決まりによる家の備蓄に
期限が切れた食料・電池使えないのに重さだけ残る半年ごとに入れ替える
大きな貴重品・思い出の品手がふさがり、避難が遅れる写真やコピーで残しておく

携帯トイレは、袋に数回分、家に人数分×日数分という二段構えが使いやすいです。必要な回数の目安は携帯トイレの選び方の表にまとめています(1人1日5回分。東京都)。

家族ごとに足すもの

ここは人によって変わります。代わりがきかないものから足していきましょう。

  • 赤ちゃんがいる:液体ミルク、紙おむつ、おしりふき、母子健康手帳のコピー。支援物資は届くまで時間がかかり、届いても、ふだんのサイズや味と同じとは限りません(赤ちゃんのいる家庭の備蓄)。
  • 高齢の家族がいる:いつも飲んでいる薬を数日分以上(量はかかりつけ医や薬局に相談)、お薬手帳のコピー、入れ歯の洗浄用品、補聴器の予備電池。
  • ペットがいる:いつものフードと水、リード、折りたためるケージや布のキャリー。
  • 持病や体質の事情がある:食べられないものがある場合は、自分で食べられる食料を袋に入れておくと安心です。

薬は種類も量も人によって違います。飲み合わせや量のことは、かかりつけの医療機関や薬局に相談してください。

袋は1つより、2つに分けると軽くなる

すべてを1つの袋に入れると、どうしても重くなります。すぐ持って出る袋と、落ち着いてから取りに戻る袋の2つに分けると、1つ目を軽くできます。

1つ目には、上の「3つの層」のうち安全・情報・身元に関わるものを入れます。2つ目には、着替えや余分な食料、衛生用品のまとめ買い分を入れておき、玄関や納戸に置いておきます。在宅避難ができる状況なら、そもそも2つ目の袋を開ける必要はありません。

通勤している方は、会社に置く分も少し考えておくと安心です。歩いて帰れない距離なら、その日は職場にとどまる選択になります。履き慣れた靴と、小さな水と食料をロッカーに入れておくだけでも違います。

置き場所と、年2回の点検

袋は、寝室の枕元か玄関のすぐ手に取れる場所に置きます。押し入れの奥にしまうと、夜中の停電では見つけられません。家族の人数分を作るなら、それぞれの寝室に分けて置いておくと確実です。

大阪府は少なくとも年に一度の点検をすすめています。年2回、予定に入れてしまうと忘れにくくなります。防災の日(9月1日)の前後と3月を決めておくと忘れません。見るところは3つだけです。

  1. 食料と水の期限
  2. 電池の残量(機器から抜いて保管しているか)
  3. 子どもの服や靴のサイズ、家族構成の変化

まとめ:次にやること

  1. 手持ちの袋に今あるものを詰めて、背負って階段を1往復してみる。
  2. 重すぎたら、水と食料を袋から出して家の備蓄に回す。
  3. 家族ごとに足すもの(薬・ミルク・フードなど)を書き出して、買い足す分を決める。

自分の世帯で何がどれだけ必要かは、防災備蓄診断で数量つきに出せます。袋の中身を決める前に、家の備蓄の全体量を見ておくと、どちらに何を置くかの判断が早くなります。

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