防災備蓄診断

公開 2026-10-20

大雨の日の帰り道:通勤路のアンダーパス・冠水しやすい道を前もって確かめる

線路や道路の下をくぐるアンダーパスには、短い時間の強い雨で水がたまります。神奈川県内で撮影した冠水注意の表示の写真とともに、水がたまる仕組み、JAFが冠水した道で車を走らせた試験の結果、家族の帰り道を前もって確かめる4つの手順をまとめました。

帰り道の「くぐる道」に、水はたまります

夕方に急に強い雨が降ると、線路や大きな道路の下をくぐる道(アンダーパス)に、短い時間で水がたまることがあります。駅の近くや、毎日の通勤・通学・買い物の途中にあることも多い道です。

ふだん何気なく通っている道ほど、大雨の日も同じように通ってしまいがちです。この記事では、なぜそこに水がたまるのかを確かめたうえで、家族の帰り道を前もって確かめておく方法をまとめます。写真は、このサイトを運営する株式会社キールが、2026年10月に神奈川県内で撮影したものです。

なぜ、アンダーパスに水がたまるのか

アンダーパスは、前後の坂を下った先がいちばん低い地点です。雨水は低いほうへ流れるので、道路の表面を流れてきた水が底に集まります。

多くのアンダーパスには排水のポンプがありますが、ポンプが処理できる量を超える雨が降ったときや、停電でポンプが止まったときには、水位が上がります。下水道や水路の排水が追いつかずに雨水があふれることを「内水氾濫」といい、川の水があふれる洪水とは別に起こります。川から離れた場所でも起こるのが特徴です。

現地で見かける表示

冠水しやすい場所の近くには、知らせるための表示や、通行止めに使う柵が置かれていることがあります。次の写真は、神奈川県内のアンダーパスの近くで撮影した例です。

アンダーパスの近くにある、冠水を知らせる表示と備え

道路脇の柱に付いた電光表示に「冠水注意」の文字が出ている

電光表示の「冠水注意」(大和市高座渋谷、小田急線ガード下の手前)

路面に白い文字で「水深20cm」と矢印が書かれている

路面の「水深20cm」の表示(藤沢市、小田急線高架下の県道)

鉄道の下へ下る坂道の路面に、水深の表示が並んでいる

下り坂に並ぶ路面の水深表示(大和市高座渋谷、小田急線ガード下)

鉄道の下へ下る道の脇に「大雨時冠水注意」の看板が立っている

「大雨時冠水注意」の看板(横浜市磯子区、根岸駅の西)

道路の脇に「ROAD CLOSED 車両通行止」の柵と、土のう、コーンが置かれている

入口の脇に置かれた「車両通行止」の柵と土のう(海老名市、上郷河原口線アンダーパス)

写真:株式会社キール(2026年10月、神奈川県内で撮影)。撮影した時点の様子です。

路面に「水深20cm」のような表示があっても、それを見ながら進むためのものではありません。水がたまっているときは、入らずに引き返すのが基本です。また、表示がない場所が安全というわけでもありません。表示のあるなしは場所によって違います。

車でも、歩いてでも、水がたまった道には入らない

冠水した道では、水面から深さを見分けることができません。日本自動車連盟(JAF)が、アンダーパスを想定して前後に坂をつけたコースで試したところ、水深60cmではセダンが登り坂に差しかかったところでエンジンが止まりました。水深30cmでは走りきれたものの、速度を上げると巻き上げた水がエンジンルームに多く入ったと報告されています。別の試験では、水深60cmで車の外からドアを開けるのに、ふだんの5倍近くの力が要りました。

歩いて帰る場合も同じです。浸水の深さが50cmほどになると、大人でも歩きにくくなります。

浸水の深さで、できることが変わります

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浸水の深さごとに起きること30cmで車の走行が難しくなり、50cmで1階の床の高さに達して大人も歩行が困難になり、車が浮くこともある。50cmを超えたら2階などへ。玄関止水板は浅い浸水向け30cm車の走行が難しくなる50cm1階の床の高さ。大人も歩行が困難50cm超外へ出ず、2階など高いところへ(垂直避難)深さは目安です。流れの速さや、家の周りの地形によって同じ深さでも危険度が変わります。
止水板は、浅い浸水に備えるものです。守れる高さは製品ごとに違うので、製品の仕様と、ハザードマップの自宅の想定浸水深を見比べてください。50cmを超える想定なら、止水板より先に避難の判断が要ります。

出典:国土交通省「水害ハザードマップ作成の手引き」(令和8年5月版)をもとに編集部作成

家族の帰り道を、前もって確かめる

大雨の日にその場で道を探すのは大変です。晴れている日に、家族の通る道を一度見ておきましょう。

  1. 家族がよく通る道を書き出す。 通勤・通学の道、駅から家までの道、買い物の道です。車・自転車・歩きのどれで通るかも添えます。
  2. 低いところをくぐる道に印をつける。 線路や大きな道路の下をくぐる道、坂を下った先の低い道です。歩行者と自転車だけが通る地下道に、冠水のおそれの印がついていることもあります。
  3. 公表されている資料と照らし合わせる。 市区町村の内水(浸水)ハザードマップに、冠水のおそれがある場所が載っていることがあります。国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、洪水などの想定を地図で重ねて見られます。道路の管理者がまとめた一覧もあり、たとえば関東地方整備局の「道路冠水注意箇所マップ【神奈川県】」(令和8年6月1日作成)には、県内128か所が載っています。
  4. くぐらずに帰れる道を1本決める。 印をつけた場所を通らない道を、家族ごとに決めておきます。遠回りした先に、別の低い道がないかも確かめます。

住所から洪水・土砂災害などの想定を確かめるなら、住所から災害リスクを調べるも使えます。

大雨の日は、帰る時間と道を早めに決める

大雨の情報は、気象庁から段階を追って出されます。2026年5月29日からは、大雨の注意報・警報に「レベル2大雨注意報」「レベル3大雨警報」のように警戒レベルの数字がつく名前になりました。地図で今の状況を見るなら、気象庁の「キキクル」が分かりやすいです。

雨が強くなりそうな日は、次のように決めておくと迷いません。

  • 雨が強くなる前に帰れるなら、早めに帰る
  • 帰り道にくぐる道があるなら、決めておいた別の道で帰る
  • 雨のピークに帰り道が重なりそうなら、無理に動かず、いる場所でしばらく待つ。家族には「待っている」と連絡する

台風のように前もって分かる大雨のときの準備は、台風が近づいたらにまとめています。

まとめ:今日できること

  1. 家族の帰り道を地図に書き出し、くぐる道に印をつける。
  2. お住まいの市区町村の内水(浸水)ハザードマップを開いて、印の場所と見比べる。
  3. くぐらずに帰れる道を1本決めて、家族に伝える。

家の備えがどこまでできているかは、防災備蓄診断で確かめられます。

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