防災備蓄診断

公開 2026-09-18

防災用モバイルバッテリーの選び方:容量の目安と家族分の台数、保管の注意

モバイルバッテリーは容量(mAh)をスマホ何回分かに直すと選びやすくなります。表示の容量と実際に充電できる量の違い、大人1人に1台という台数の考え方、出力と端子、乾電池式との組み合わせ、半年ごとの点検まで判断の軸をまとめました。

停電のとき、スマホは「連絡」と「情報」を1台で担います

停電すると、家族の安否確認、自治体の避難情報、水道やガスの復旧見通しのすべてがスマートフォン頼みになります。ところが充電できる場所は減り、画面を見る時間は普段より長くなります。その数日間をしのぐための備えが、モバイルバッテリーです。

普段づかいのものを1つ持っている方も多いと思います。防災用として考えるときは、カタログの容量(mAh)を「スマホ何回分か」に置き換えてから、家族分の台数を決めると迷いません。

もうひとつ先に押さえておきたいのは、停電の備えをモバイルバッテリー1つで賄う必要はない、ということです。電源は役割で分けたほうが、費用も置き場所も無理がありません。

全部をポータブル電源で賄う必要はありません

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電源を役割で分ける乾電池で照明とラジオ、モバイルバッテリーでスマホ、残りをポータブル電源で賄う。乾電池照明・ラジオ安い・長期保管できるモバイルバッテリースマホ1人1本。約74Whポータブル電源扇風機・冷蔵庫・医療機器上の2つで足りない分だけ左ほど安く、長く保管できます。右へ行くほど1台の単価が上がります。ポータブル電源は高額なので、懐中電灯・ラジオ・モバイルバッテリーをそろえてからで大丈夫です。
照明とラジオは乾電池、スマホはモバイルバッテリーで済みます。ポータブル電源は、その2つで賄えない機器のためだけに容量を決めると、無駄に大きな1台を買わずに済みます。

出典:防災備蓄診断 編集部作成

判断の軸

1. 容量は「スマホ何回分」に直して考える

表示の容量(mAh)が、そのままスマホに入るわけではありません。経済産業省は、製品に表示する「定格容量」は内蔵する電池の容量と一致するものではない、としています。電圧を変換するときに一部が失われるため、実際に充電できる量は表示より少なくなります。

回数の見当は、次の順につけます。

  • 使っているスマホの電池容量を、機種の仕様で確かめる
  • バッテリーの製品に「スマホ何回分」の目安が書かれていれば、それを使う
  • 書かれていなければ、仮に表示容量の6割が使えるとして計算する(仮にスマホの電池が4,000mAhなら、10,000mAhでおよそ1.5回分)

1日1回の充電で3日間をしのぐなら、1人3回分が要ります。この回数に足りる容量かを、上の方法で確かめます。

2. 台数は「大人1人に1台」から考える

容量を増やすより、台数を分けたほうが実際には使いやすくなります。1台を家族で回すと充電の順番待ちが起きますし、避難するときに誰が持つかで迷います。当サイトの診断でも、モバイルバッテリーは大人の人数分で数えています。子どもがスマートフォンを持っているなら、その分も数えてください。4人家族(大人2人・子ども2人)なら、大人が1台ずつ持ち、子どもの分は共用の1台をあてる、という形が現実的です。

3. 出力(W)と端子は、手持ちの機器に合っているか

同じ容量でも、出力(W)が小さいと充電に時間がかかります。スマホやノートパソコンが求める出力に対応しているかを、バッテリーと機器の両方の表示で確かめます。

見落としやすいのがケーブルです。本体だけ用意しても、手持ちの機器に合う端子(USB-C、Lightning)のケーブルがなければ充電できません。バッテリーと一緒に、家族全員分のケーブルを同じ場所に入れておきましょう。出力ポートの数(同時に何台充電できるか)も見ておきたい点です。

4. コンセント以外に充電する手段があるか

停電中の弱点は、バッテリー本体を充電できないことです。復旧までが長引きそうなときは、コンセント以外の手段を1つ持っておくと安心です。

  • 乾電池式のモバイルバッテリー:単3形などの乾電池を入れて使うタイプ。乾電池の使用推奨期限は、電池の表示で確かめます
  • ソーラーパネル付き:晴れた日中の補助と考えます。パネルが小さいものや曇りの日は、たまる量がかなり少なくなります。表示されているWとどれだけ差が出るかはソーラーパネルで本当に充電できるのかにまとめました
  • 車のシガーソケット:車があればエンジンをかけて充電できます。換気と、マフラー周りに雪や物がないことの確認を忘れずに

手回しラジオにもUSB出力が付いた製品がありますが、回した時間に比べて充電できる量は少なく、一時しのぎと考えます。詳しくは手回しラジオの選び方にまとめています。

5. PSEマークと、安全に関する表示

モバイルバッテリーは2018年2月に電気用品安全法の対象になり、2019年2月1日からは、丸形のPSEマークと届出事業者名の表示がない製品は販売できなくなりました(経済産業省)。購入前にマークの有無を確かめてください。フリーマーケットアプリや古い在庫品を買うときはとくに見ておきたい点です。

膨らんでいるもの、落として変形したもの、熱くなるものは使いません。捨てるときは一般ごみに出さず、住んでいる自治体の案内に従ってください。

6. 長く置いておくための保管と点検

防災用は「買ってから何年も使わない」ことが前提になります。ここが普段づかいとの一番の違いです。

  • 保管するときの残量と、補充電の間隔は、取扱説明書の案内に従います
  • 半年に一度など日を決めて、残量を確認します
  • 高温を避けます。夏の車内やストーブの近くは向きません

点検を忘れないコツは、日付を決めてしまうことです。防災の日(9月1日)と年度末(3月)の年2回、水や非常食の期限チェックと同じタイミングにすると続きます。

7. ポータブル電源が必要になる境目

スマホと照明だけならモバイルバッテリーと乾電池で足ります。扇風機、小型冷蔵庫、電気毛布、在宅医療機器のように「コンセントにつなぐ家電」を動かしたい場合が、ポータブル電源の領域です。容量の考え方はポータブル電源の選び方にまとめました。実際に何が何時間動くかを計算した記事もあります(1000Whの場合/500Whの場合)。高額なので、優先度の高いものをそろえてからで大丈夫です。

基準を満たす選択肢の例

順位ではなく、上の軸で分けたタイプの例です。どれが合うかは、世帯の人数と想定している停電の長さで決まります。

タイプ向いている状況見ておく点
容量の小さいもの普段づかいと兼用。持ち出し袋にも入れたい重さ(仕様表の質量)、出力、ポートの数。軽いぶん回数は少ない
容量の大きいもの備えの主役。停電が数日続く想定、家族で分け合うUSB PD対応か、同時に何台充電できるか、本体の充電にかかる時間
乾電池式停電が長引く想定。予備の1つとして使う乾電池の種類と本数、出力(スマホ何回分か)、乾電池が別売りかどうか

上の3タイプは、どれか1つを選ぶというより、容量の大きいものを主役にして乾電池式を予備に足す、という組み合わせで考えると無理がありません。

買ったあとにやっておくこと

  1. ケーブルを同じ場所にまとめる。家族の機器に合う端子のものを人数分。充電器(ACアダプタ)も一緒に入れておくと、電気が戻ったときすぐ使えます。
  2. 点検日を決める。3月と9月の年2回、残量を確認して補充電します。
  3. 置き場所を家族で共有する。暗い中で探さずに済みます。

停電を想定した備え全体は停電に備える防災診断で、家族の人数と住まいから必要な数量まで出せます。

どのタイプを選んでも、「半年ごとの残量確認」と「ケーブルを一緒に保管」は同じように必要です。

参考資料

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