公開 2026-09-29
ペットと暮らす家の防災:環境省のガイドラインに沿って、備蓄の優先順位と同行避難の準備をまとめる
ペットフードと水は少なくとも5日分、できれば7日分以上。療法食・薬、キャリー、予備の首輪とリード、トイレ用品まで、環境省のガイドラインが示す持ち出しの優先順位と、迷子札・マイクロチップ、しつけと健康管理、受け入れる避難所と預け先の確かめ方をまとめました。
ペットを守れるのは飼い主だけ
大きな災害のあと、行政の支援が届くまでは、自分たちで持ちこたえることになります。ペットについても同じで、環境省のガイドラインは「災害でペットを守ることができるのは飼い主だけ」としたうえで、次の3点が大切だとしています。
- 飼い主が自分の安全を確保すること。それが、災害のときにもペットを世話し続けることにつながる
- 健康管理としつけを含めた、ふだんからの適切な飼い方が、いちばん効く災害対策になる
- 災害のときはペットを落ち着かせ、逃げ出しやけがに気をつけて、一緒に避難する
この記事では、環境省「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」に沿って、家庭でそろえるものと、ふだんからしておくことをまとめます。
これまでの災害で、実際に困ったこと
ガイドラインは、過去の災害でペットと飼い主に起きた問題を挙げています。その一部です。
- 床一面にガラスが飛び散り、人もペットも足をけがした
- ペットを受け入れる避難所がどこにあるか分からなかった
- 人の支援物資はあっても、しばらくペットフードの支援はなかった
- 支援物資のペットフードを食べなかった。療法食が手に入らなかった
- 犬がケージに慣れていなくて、強いストレスを与えてしまった
- 犬がペットシーツで排泄しなかった
- 避難所で吠えて迷惑をかけ、車の中で過ごすことになった
どれも、災害が起きてからでは間に合わないことです。裏を返すと、ふだんの備えで防げることでもあります。
「同行避難」は、同じ部屋で過ごすことではない
ガイドラインでいう同行避難は、ペットと一緒に避難所まで避難する行動のことです。避難所で、人とペットが同じ部屋で過ごすことを意味するものではありません。避難所によって、飼い主と同じ部屋、飼い主とそうでない人で分けた部屋、ペット用の部屋、敷地内の屋外など、受け入れ方はさまざまです。避難所のルールに従います。
自宅が安全なら、自宅で過ごす在宅避難もあります。ガイドラインは、自宅のほかに、車やテントで過ごす、知人や施設に預ける、といった選択肢も示しています。
備えておくものと、持ち出す順番
ガイドラインは、ペット用の備蓄品と、持ち出すときの優先順位の例を、3段階で示しています。
優先順位1 動物の健康に直接かかわるもの
- 療法食・薬
- ペットフード・水(少なくとも5日分、できれば7日分以上)
- キャリーバッグやケージ(猫や小動物には避難に欠かせない)
- 予備の首輪・リード(伸びないもの)
- ペットシーツ、排泄物の処理用具、トイレ用品(猫は使い慣れた猫砂か、使った猫砂の一部)
- 食器
優先順位2 情報
- 飼い主の連絡先と、飼い主以外の緊急連絡先・預け先
- ペットの写真(印刷したものと、スマホの画像)
- ワクチンの接種状況・持病・飲んでいる薬・検査結果・かかりつけの動物病院
優先順位3 ペット用品
- タオル・ブラシ、ウェットタオルや清浄綿、ビニール袋
- においのついたお気に入りのおもちゃ
- 洗濯ネット(猫を診察・保護するときに役立つ)
- ガムテープ・マジック(ケージの補修や、ペットの情報の掲示に使う)
フードと水を「少なくとも5日分」とするのは、ペット用の支援物資が届くまでに5日ほどかかる場合があるためです。ガイドラインは、それまで持ちこたえるのは飼い主の責任だとしています。ふだん食べているものを多めに買い、古いものから使って買い足していくと、食べ慣れたフードを切らさずにすみます。
ふだんのフードと水の量から5日分・7日分を出すなら、ペットの防災備蓄 計算ツールで計算できます。
情報(優先順位2)は、紙にまとめてスマホにも写真で残しておくと、避難所での受け入れや、預けるときの手続きが早く進みます。
はぐれたときに、飼い主のもとへ戻れるようにする
災害のときは、驚いて逃げ出したペットと離れてしまうことがあります。誰が飼い主か分かるようにしておきます。
- 犬:首輪と迷子札。鑑札と狂犬病予防注射済票を着けること(狂犬病予防法で義務づけられています)。マイクロチップ
- 猫:首輪と迷子札。引っかかったときに外れるタイプの首輪を使うなら、マイクロチップを強く勧めるとしています
マイクロチップは、入れたら必ず、日本獣医師会などに飼い主と動物の情報を登録します。保護されたときに、自治体・警察・動物病院が読み取って、飼い主に連絡できるようになります。
ふだんからのしつけと健康管理
ガイドラインが挙げる、ふだんからしておくことです。
犬
- 「待て」「おいで」「お座り」「伏せ」などの基本のしつけ
- ケージに入ることを嫌がらないように慣らす
- むやみに吠えないようにする。人や他の動物を怖がったり攻撃したりしないように慣らす
- 決まった場所で排泄できるようにする
- 狂犬病の予防接種(義務)と各種ワクチン、フィラリアやノミ・ダニの予防と駆除
猫
- ケージに入ることを嫌がらないように慣らす
- 人や他の動物を怖がらないように慣らす
- 決まった場所で排泄できるようにする
- 各種ワクチン、寄生虫の駆除
- できるだけ室内で飼う(外に出していると、災害のときに行方が分からなくなることが多い)
避難が長引くと、ペットを一時的に預けるシェルターを使うことがあります。ガイドラインの例では、ワクチンの接種や寄生虫の駆除が済んでいることが預ける条件になっていて、済ませていなかった飼い主は、動物病院を探すところから始めることになりました。
住まいの対策
- 家具やケージを固定し、倒れたり落ちたりしないようにする
- 外で飼っているなら、塀やガラス窓の近くを避ける
- ケージなど、ペットが逃げ込める場所をつくっておく
家具の固定とガラスの飛散防止は、人のけがを防ぐ対策でもあります。
避難先と預け先を、先に調べておく
ペットを受け入れる避難所は、自治体や避難所ごとに違います。ガイドラインは、避難訓練で次のことを確かめておくよう勧めています。
- ハザードマップで、危ない場所を知っておく
- ペットを受け入れる指定避難所がどこか、そこまで何分かかるか
- 通れないときの回り道
- 避難所の飼い方のルールと、動物が苦手な人への配慮
- 避難所が被災したとき、津波などで避難所が危ない場所にあるときの、次の避難先
- ペットを連れて行けないときの、避難先や預け先
受け入れる避難所は、お住まいの市区町村のホームページや、防災の担当の窓口で確かめられます。親戚や友人など、預け先を複数探しておくことも勧められています。被害が及びにくい遠くの知人に頼むことも考えておきます。
家族とは、連絡の方法と集合場所、ペットを誰がどう連れて避難するか、留守中にペットだけが家にいたときにどうするか、を話し合っておきます。
避難するとき
- 犬:リードを付け、首輪がゆるんでいないか、鑑札と注射済票を着けているかを確かめる。小型犬はリードを付けたうえで、キャリーバッグやケージに入れる
- 猫:キャリーバッグやケージに入れる。扉が開いて逃げ出さないよう、ガムテープなどで留めるとよい
車の中で過ごすときは、ペットだけを残すなら車内の温度に気をつけ、飲み水を十分に用意します。長い時間離れるなら、安全な場所に移します。人もエコノミークラス症候群に気をつけます。
まとめ
- ペットを守るには、まず飼い主が自分の安全を確保する
- フードと水は、少なくとも5日分、できれば7日分以上。療法食と薬は最優先
- キャリーやケージ、予備の首輪とリード、トイレ用品までを「避難セット」にしておく
- 迷子札・鑑札・マイクロチップで、飼い主が分かるようにする
- ケージに慣らす、決まった場所で排泄できるようにする、ワクチンと寄生虫の駆除を済ませておく
- ペットを受け入れる避難所と、預け先を、先に調べておく
ペットがいる家庭で、何がどれだけ足りないかは、ペットと暮らす家の防災備蓄診断で確かめられます。
参考資料
- 環境省「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(平成30年9月)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」