神奈川県の地震・津波の被害想定と災害リスク
県は令和5〜6年度の調査で、11の地震について被害を算出しています。警戒すべき地震は、住んでいる地域で変わります。
起きる確率が高いのは
都心南部直下地震
南関東地域のM7クラスの地震が30年間で70%
起きたとき大きいのは
大正型関東地震
19,780人
死者の想定。全壊303,300棟(全建物の12.6%)
この2つは別の地震です。確率が高いほうと、起きたとき大きいほうの両方を前提に備えてください。
お住まいの地域を選んでください
警戒する地震も、津波が来るまでの時間も、地域で変わります。
横浜・川崎横浜市、川崎市震度6強
- いちばん警戒する地震
- 都心南部直下地震
- 震度6強(局所的に7)/発生確率 南関東のM7クラスが30年間で70%
- 揺れが最大になる地震
- 大正型関東地震
- 震度7
- 津波
- 25〜45分で到達
- 東京湾内で2〜4m
先にやること
- 揺れへの備えが中心になります。家具の固定と、寝る場所に倒れてくる物を無くすこと
- この地震では全県で320件の出火が想定され、火災の被害が大きくなるのは横浜市・川崎市・相模原市です。感震ブレーカーの優先度が上がります
- 津波は到達まで25分以上あります。揺れが収まってから動いて間に合う想定です
横須賀・三浦横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町震度6強
- いちばん警戒する地震
- 三浦半島断層群の地震
- 震度6強(横須賀市で局所的に7)/発生確率 30年以内6〜11%
- 揺れが最大になる地震
- 大正型関東地震
- 震度7
- 津波
- 5〜10分で到達
- 相模湾内で6〜10m(大正型関東地震)
先にやること
- 家具の固定に加えて、津波の避難先を先に決めてください。相模湾側は到達5〜10分です
- 三浦半島断層群の地震では、火災の被害が大きくなるのは横浜市・横須賀市・逗子市です
- 持ち出す物を選ぶ時間はありません。玄関に1つ置いて、それだけ持って出る形にしてください
湘南平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、大磯町、二宮町、寒川町震度7
- いちばん警戒する地震
- 大正型関東地震
- 震度7/発生確率 30年以内 ほぼ0〜6%(2〜4百年の間隔)
- 津波
- 5〜10分で到達
- 相模湾内で6〜10m
先にやること
- 備蓄より先に、逃げる場所とそこまでの時間を決めてください。到達5〜10分です
- 大正型関東地震は確率こそ低いものの、起きれば県内で最も大きい被害になります。震度7が湘南と県西を中心に想定されています
- 南海トラフ巨大地震では、平塚市で局所的に震度6強が想定されています
県西小田原市、南足柄市、箱根町、真鶴町、湯河原町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町震度6強
- いちばん警戒する地震
- 神奈川県西部地震
- 震度6強(酒匂川と根府川の周辺)/発生確率 過去400年の間に同クラスが5回発生
- 揺れが最大になる地震
- 大正型関東地震
- 震度7
- 津波
- 5〜30分で到達
- 相模湾内で2〜6m(神奈川県西部地震)
先にやること
- 揺れ・津波・土砂・降灰が重なる地域です。まず自宅がどれに当たるかを、市町のハザードマップで確かめてください
- 南海トラフ巨大地震では、小田原市・箱根町で局所的に震度6強、南足柄市・大磯町・二宮町・中井町・大井町の一部で震度6弱が想定されています
- 箱根山は気象庁の常時観測火山です。降灰への備えは下に書きました
県央・内陸相模原市、厚木市、大和市、海老名市、座間市、伊勢原市、綾瀬市、愛川町、清川村 ほか震度6強
- いちばん警戒する地震
- 都心南部直下地震
- 震度6強(相模原市東部、厚木市、伊勢原市、海老名市、座間市の一部)/発生確率 南関東のM7クラスが30年間で70%
- 揺れが最大になる地震
- 大正型関東地震
- 震度7
- 津波
- 想定なし
先にやること
- 津波の想定がない地域です。揺れと火災への備えに集中できます
- 家具の固定、ガラスの飛散防止、感震ブレーカー。この3つで守れる範囲が大きい地域です
- 海に面していないぶん、断水と停電が長引いたときの在宅避難の備えが効きます
沿岸部は、備蓄より先に決めることがあります
相模湾側の到達5〜10分は、揺れが収まってから持ち出す物を選ぶ余裕がないという意味です。水や食料をそろえる前に、逃げる場所とそこまでの時間を家族で決めてください。
神奈川県全体の被害想定をすべて見る(6地震)閉じる
被害想定の前提
冬・平日・18時。風速と風向は地域ごとの平均。ただし津波による人的被害だけは、平日の深夜0時を条件にしています。
| 想定地震 | 規模 | 死者 | 全壊 |
|---|---|---|---|
| 都心南部直下地震横浜市・川崎市を中心に震度6強南関東地域のM7クラスの地震が30年間で70% | 7.3 | 1,850人 | 42,920棟1.8% |
| 三浦半島断層群の地震横須賀三浦地域で震度6強30年以内6〜11% | 7.0 | 700人 | 15,830棟0.7% |
| 神奈川県西部地震県西地域で震度6強過去400年の間に同クラスの地震が5回発生 | 6.7 | 260人 | 3,430棟0.1% |
| 東海地震県西地域で震度6弱南海トラフの地震は30年以内80%程度 | 8.0 | 330人 | 2,970棟0.1% |
| 南海トラフ巨大地震県西地域で震度6弱南海トラフの地震は30年以内80%程度 | 9.0 | 790人 | 5,770棟0.2% |
| 大正型関東地震湘南地域・県西地域を中心に震度730年以内 ほぼ0%〜6%(2〜4百年の発生間隔) | 8.2 | 19,780人 | 303,300棟12.6% |
津波の想定
- 大正型関東地震相模湾内6〜10m、東京湾内2〜4m到達:相模湾内5〜10分、東京湾内25〜45分
- 神奈川県西部地震相模湾内2〜6m、東京湾内2m以下到達:相模湾内5〜30分、東京湾内60分以上
- 東海地震相模湾内3〜8m、東京湾内2〜4m到達:相模湾内25〜40分、東京湾内60分以上
- 南海トラフ巨大地震相模湾から東京湾内にかけて2〜9m到達:相模湾内30〜40分、東京湾内60分以上
参考地震として算出されている最大クラスでは、相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)で最大津波高24.9m・到達7分、元禄関東地震タイプで最大津波高19.0m・到達5分と想定されています。
※最大津波高は、海岸保全区域以外のがけ地等で発生している場合もあります。
令和元年の台風で、県内でも9名の命が失われています。忘れたころに来るものではなく、直近の話です。
令和元年東日本台風の県内の死者
9名
全国では100名を超えました
相模川の県内流域面積
673km²
県内の河川で最大。県土の約4分の1にあたります
令和元年の2つの台風
令和元年の台風第15号(房総半島台風)と第19号(東日本台風)は、いずれも本県を含む首都圏を直撃しました。記録的な豪雨と暴風により、県内では9名が亡くなったほか、広範囲にわたる停電や断水、道路や鉄道網の寸断が起きています。
城山ダムで初めての緊急放流
令和元年東日本台風の豪雨で、城山ダムは運用開始以来初めて異常洪水時防災操作(緊急放流)を実施しました。このとき情報伝達に遅れが生じるという課題が明らかになり、県は令和2年6月に新しい情報共有の仕組みを作っています。相模川の流域にお住まいなら、ダムの放流情報がどこで出るかを、雨が降る前に確かめておいてください。
県内の主な河川
一級河川は多摩川・鶴見川・相模川など、二級河川は境川・酒匂川・金目川・帷子川・平作川などがあります。県内流域面積は相模川が673km²、酒匂川が388km²、境川が192km²です。自宅がどの水系に入るかで、避難の情報を見る先が変わります。
先にやること
- 自宅がどの川の流域かを確かめてください。相模川・酒匂川・鶴見川・境川など、県内の水系は分かれています
- 相模川の流域なら、城山ダムの放流情報の出どころを平時に確認しておく
- 台風は予報が出ます。上陸の48時間前から動ける形にしておけば、当日の行動が要りません
川から離れていても起きます。下水道が雨を流しきれずにあふれるもので、県は雨水の整備が汚水より遅れていると書いています。
公共下水道に着手した市町村
33市町村
早く着手した都市の一部は合流式、その他は分流式です
増えている雨の強さ
1時間100mm超
県は「発生頻度が高まってきており」としています
県が「遅れています」と書いている
下水道には、汚水を流す役割と、雨水を流して浸水を防ぐ役割があります。県は現状について「雨水整備は、汚水整備に比べて、多少遅れています」と書いています。雨が降ったときに流しきれない地域が残っている、ということです。
都市化で水の逃げ場が減った
県は、都市化の進展で地下鉄・地下街・ビルの地下などの地下空間の利用が進み、本来土地が持っていた保水・遊水機能が減少したことで、内水による地下空間への浸水、つまり都市型水害の危険性が増しているとしています。低地帯では、雨水を川へ排除することが難しくなります。
最初に水が入るのは地下
県が挙げているのは、地下鉄、地下街、ビルの地下施設です。家庭でいえば、半地下の駐車場、地下室、道路より低い玄関が同じ条件になります。周りが冠水する前に、そこだけ先に水が溜まります。
見る情報が洪水とは別にある
市町村は、想定しうる最大規模の降雨で排水できなくなった場合に浸水する区域を「雨水出水浸水想定区域」として指定し、水深や浸水継続時間を公表することになっています。避難情報では、警戒レベル4相当として「内水氾濫危険情報」が水位周知下水道で発表されます。川の情報(洪水キキクル・氾濫危険情報)とは別のものです。
先にやること
- 洪水のハザードマップが白でも安心できません。「雨水出水浸水想定区域」が別にあるかを市町村に確認してください
- 半地下の駐車場・地下室・道路より低い玄関があるなら、そこが最初に浸かります。止水板はその位置に置く
- 排水口からの逆流を水のうで抑えられます。風呂場・洗濯機・トイレの排水口を確かめておいてください
県土の約40%が森林で、その地形は急峻、地質は脆弱です。大正関東地震でできた荒廃地が、今なお残っています。
森林が占める割合
約40%
丹沢山塊・箱根山塊・三浦半島に分布しています
県内で最も高い山
1,673m
丹沢山地の蛭ヶ岳。1,300m前後の山が連なります
崩れやすい土地であること
県の森林は丹沢山塊・箱根山塊・三浦半島に分布し、県土面積の約40%を占めます。県はこれらの森林地帯について「地形が急峻で複雑なうえ、地質が脆弱であるため、集中豪雨、地震等で荒廃しやすい状況にあります」としています。
100年前の地震の跡が残っている
大正関東地震(1923年)と北伊豆地震で発生した荒廃地は、治山事業による復旧で相応の成果が得られたとされています。ただし令和元年東日本台風をはじめ近年の集中豪雨でも森林の被害が出ており、県は「今なお多くの荒廃地があります」と書いています。地震のあとに雨が降ると、崩れる場所が増えるということです。
地形は3つに分かれる
県の地形は、丹沢山地と箱根火山で特徴づけられる起伏の激しい西部、多摩丘陵と三浦半島の丘陵地性の東部、相模川の両岸に広がる平坦な中央の3つに分かれます。三浦半島の海岸線は屈曲に富み、いたるところにおぼれ谷(リアス式海岸)が発達しています。
先にやること
- 自宅が土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っているかを、市町村のハザードマップで確かめてください
- 区域に入っているなら、備蓄より先に「どの雨量で、どこへ動くか」を決めてください
- 地震のあとに雨が降る場合は、揺れで緩んだ斜面が崩れます。平時と同じ基準で判断しないでください
活火山があり、大雪で孤立する地域があり、原発が無いのに原子力災害対策計画があります。どれも神奈川だけの事情です。
箱根山の噴気地帯
4か所
大涌谷・早雲山・湯ノ花沢・硫黄山
原子力艦のモニタリングポスト
16か所
国が横須賀周辺に設置しています
箱根山は「常時観測火山」
県に被害を及ぼすおそれのある火山として、県は箱根山と富士山を挙げています。箱根山は気象庁の常時観測火山です。大涌谷・早雲山・湯ノ花沢・硫黄山の4つの噴気地帯で噴気活動が続いており、大涌谷と湯ノ花沢では過去に火山ガスによる事故で死者が出ています。
10年前に噴火しています
平成27年4月下旬から始まった火山活動の活発化は11月下旬までおよそ7か月続き、6月にはごく小規模な水蒸気噴火が発生しました。この間の火山性地震は約12,500回です。平成31年にも5月19日に噴火警戒レベルが1から2(火口周辺規制)へ上がり、10月7日に1へ戻りました。
家庭に関わるのは降灰
県は降灰について、慢性の喘息などの症状を悪化させたり、健康な人でも目・鼻・のどなどの呼吸器に影響を与えるおそれがあるとしています。挙げられている対応は、外出を控えることと、車の運転に注意することです。風向きによっては、県西だけでなく広い範囲に降ります。
大雪で孤立する地域がある
県の地域防災計画には雪害対策編があります。大雪に伴う都市機能の阻害と、交通の途絶による孤立を想定したものです。山間部では、除雪が困難な世帯への支援体制の整備が市町村の役割として定められています。
原発が無いのに、原子力災害対策計画がある
県内に原子力発電所はありませんが、地域防災計画には原子力災害対策計画があります。第3編が「原子力艦に係る事故災害対策」で、横須賀に寄港する原子力艦を想定したものです。国は陸上部分の調査のためモニタリングポストを16か所設置しています。
先にやること
- 箱根と県西にお住まいなら、防じんマスクと保護ゴーグルを備蓄に加えてください
- 降灰があったら、洗濯物を外に干さない、車のワイパーで乾いた灰を拭かない(傷が付きます)
- 噴火警戒レベルは気象庁が発表します。レベル2で火口周辺規制、3で入山規制です
出典:神奈川県地域防災計画(令和8年3月修正(被害想定は令和5〜6年度調査・令和7年3月公表))。確認日 2026-09-23。 数値は調査時点のもので、その後の社会構造の変化や各機関の取組みは考慮されていません。 実際の避難や対策は、お住まいの市区町村のハザードマップで確かめてください。