防災備蓄診断

公開 2026-10-02

カセットコンロとボンベの選び方:家族分の必要本数の計算と保管の注意

カセットボンベは1人1週間で約6本が目安(農林水産省)。人数と日数からの本数の数え方、コンロ側が指定するボンベ、換気と鍋の大きさ、缶底の製造年月日で見る期限の管理まで、判断の軸をまとめました。

カセットコンロは、電気もガスも止まった日の台所になります

停電や都市ガスの停止が続いたときに困るのが、「温かいものが作れない」ことです。冷たい非常食が何日も続くと食欲が落ちて、体調にも気分にも響いてきます。カセットコンロは、電気もガスも止まった台所で、お湯を沸かしてごはんやスープを用意できる道具です。

買ったあとに迷いやすいのは、ボンベを何本置けばよいのかと、その置き場所ですね。ここでは本数の数え方を公的な目安から出したうえで、コンロを選ぶときの判断の軸を順に見ていきます。

必要な本数は「1人1週間で約6本」から数える

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」は、カセットボンベを1人1週間あたり約6本と見ています。この6本を7日で割り、家族の人数と備えたい日数をかけると、わが家の本数が出ます(1本単位で切り上げ)。

世帯3日分7日分
1人3本6本
2人6本12本
3人8本18本
4人11本24本

4人家族で7日分の24本は、置き場所をそれなりに取る量です。まず3日分をそろえて、置ける場所を見ながら7日分に近づけていく進め方で十分です。人数と日数を入れて計算するだけなら、カセットボンベの必要本数 計算ツールでも出せます。

7日分まで考えておきたいのは、ガスの復旧に時間がかかることがあるからです。内閣府がまとめた東日本大震災のライフライン復旧状況では、電気よりも水道・ガスの復旧に長い日数がかかっています。電気が戻ってもガスが来ない期間は、カセットコンロが調理の主役になります。

実際に使う量は、献立で変わります

同じ1本でも、お湯を沸かすだけなら長く持ちますし、煮込む料理が続けば早く減ります。1本でどのくらい使えるかは、コンロやボンベに書かれた連続燃焼時間が目安になります。加熱時間が短くてすむ非常食をそろえておくと、ボンベの減りはゆるやかになります。選び方は非常食の選び方にまとめています。

判断の軸

1. コンロ側が指定しているボンベを使う

日本ガス石油機器工業会は、カセットこんろは取扱説明書で指定されたボンベと組み合わせて使うよう案内しています。コンロを決めたら、ふだん買うボンベもその指定に合わせます。安いボンベを混ぜて買い足していくと、手元のボンベとコンロの組み合わせが分からなくなりがちなので、1家庭で1種類にそろえておくと管理が楽になります。

2. 使う場所と、換気のしかた

カセットコンロは屋内で使える道具ですが、火を使えば部屋の空気を使います。閉め切った部屋で長く使わず、窓や換気扇で空気を入れ替えながら使いましょう。テントの中や車内のような狭くて閉じた空間は、換気ができないので避けます。停電でレンジフードが回らないときは、窓を少し開けるだけでも違います。

3. 天板の広さと、使える鍋の大きさ

取扱説明書には、使える鍋の大きさの上限が書かれています。大きな鍋や鉄板をのせると、熱が広がってボンベの側まで回ることがあるため、説明書の範囲で使うのが基本です。家にある鍋やフライパンの直径を測って、それが収まる天板かどうかを買う前に見ておくと安心です。五徳が小さいと、鍋底の小さなやかんが安定しないこともあります。

4. 置き場所と、保管のしかた

ボンベの缶には、直射日光が当たる場所や高温になる場所に置かないよう注意書きがあります。コンロのそばやシンク下に押し込む前に、熱がこもらない場所かを確かめてください。本数が多くなるので、1か所にまとめず、台所と玄関収納などに分けて置くと、片方が取り出せなくなっても使えます。コンロ本体は、ボンベと一緒に、暗い中でも取り出せる場所に置いておきたいところです。

5. 期限は、ボンベとコンロの両方にあります

日本ガス石油機器工業会は、ボンベは製造後約7年以内に使い切ること、カセットこんろは製造後約10年以上たったら買い替えを検討することを案内しています。ボンベの製造年月日は、缶底に8桁で印字されています。手元のボンベを一度ひっくり返して、古いものから鍋料理などふだんの食事で使い、使った分を買い足す形にすると、期限切れがたまりません。

6. 集合住宅の高層階では、日数を長めに見ておく

エレベーターが止まると、買い出しも給水の運び込みも階段になります。マンションの高層階にお住まいなら、ボンベも7日分を基準に考えておくと動きやすくなります。ベランダで使うことを考える方もいますが、避難経路をふさがないこと、管理規約で火気の扱いがどうなっているかを先に確認してください。

基準を満たすタイプの例

順位ではなく、上の軸で分けたタイプの例です。どれが合うかは、使いたい鍋の大きさと置き場所で決まります。

タイプ向いている状況見ておく点
卓上の標準タイプ家族分の鍋やフライパンで調理したい。ふだんの食卓でも使う使える鍋の直径の上限、天板の広さ、五徳の安定、収納ケースが付くか
薄型・コンパクトタイプ置き場所が限られる。湯沸かしと温め直しが中心本体の厚みと重さ、使える鍋の大きさ、小さなやかんが安定するか
風のある場所を想定した構造のタイプ玄関先など風の通る場所でも使うことがある風防の構造、屋内で使ってよい製品かどうか、取扱説明書の使用条件

このサイトでは、実際に使っていない製品の使用感は書いていません。最後は取扱説明書と仕様の表で、家の鍋と置き場所に合うかを確認して選んでください。

店舗・事務所の場合

従業員が会社にとどまる3日間を想定するなら、お湯が沸かせるかどうかで食事の選択肢が変わります。カセットコンロとボンベは燃料を建物内に置いておけるので、備蓄品として扱いやすい一方、事業所での火気の扱いは消防計画や社内の規程に関わります。使う場所を「換気できるこの部屋」と決めておき、誰が出して使うかまで決めておくと、備えが機能します。数量の考え方は事業所の防災備蓄にまとめています。

まとめ:次にやること

  1. 人数×日数で本数を数える。1人1週間約6本が出発点です。まず3日分、置ければ7日分に。
  2. 家にあるボンベの缶底を見る。8桁の製造年月日を確認して、古いものから使います。
  3. ふだんの食事で1本使ってみる。鍋料理や麺をゆでるだけでも、使い方と減り方の感覚がつかめます。

家族の人数と住まいから必要な数量をまとめて出したい方は、防災備蓄診断もあわせてどうぞ。

参考資料

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