防災備蓄診断

公開 2026-10-30

救急セットに入れるもの:防災用に市販のセットへ足したい3つと置き場所

市販の救急セットには、家庭ごとの事情で変わるものが入っていません。いつも飲んでいる薬とお薬手帳の写し、手当てをする人を守る使い捨て手袋、大きめに覆えるガーゼ。足したい3つと、数のそろえ方、置き場所の決め方をまとめました。

市販の救急セットは、家族の事情の分だけ足りません

棚の奥に救急箱はあるけれど、開けたのは何年も前。備えを見直すときに、いちばん後回しになりやすいのが救急用品かもしれません。市販の救急セットを一つ買えば、ばんそうこう、ガーゼ、包帯、はさみといった手当ての道具はひとまとめにそろいます。

ただ、どの家庭にも同じものが入っているのが市販セットの性質です。言いかえると、家族ごとに違うものは入っていません。公的な備蓄リストでも「救急用品」とまとめて書かれていることが多く、中身は家庭で決めることになります。ここでは、市販のセットに足しておきたい3つと、数のそろえ方、置き場所の決め方を順に見ていきましょう。防災セット全体の選び方は防災セットの選び方にまとめています。

市販のセットに足したい3つ

1. いつも飲んでいる薬と、お薬手帳の写し

持病の薬は、市販のセットに入ることがありません。港区は「持病の薬は3日分(できれば7日分程度)常に持っておくと安心です」と案内し、先にもらった薬から飲んで新しい薬を非常用に備える形で、薬が古くならないように管理するとしています。備蓄を3日分か7日分で考えるこのサイトの目安とも、そのまま重なります。

薬の効き方や飲み方の話は、ここでは扱いません。何日分を持っておくか、どう持ち出すかは、かかりつけの医療機関や薬局に相談して決めてください。あわせて、お薬手帳は写しを取って救急セットにも入れておくと、手帳そのものを持ち出せなかったときに役立ちます。スマートフォンで撮っておく方法も同じ目的で使えます。

2. 手当てをする人を守るもの

出血のあるけがの手当てについて、東京消防庁の資料は、感染防止のためゴム手袋などをし、ゴム手袋がない場合はビニール袋などで代用して、血液に直接触れないようにすると示しています。手当てのあとは流水で十分に手を洗うこととされています。

市販のセットに使い捨て手袋が入っていないことは珍しくありません。数枚でもかさばらないので、箱に余裕があれば入れておきたいものです。ポリ袋を2〜3枚たたんで入れておくと、手袋の代用にも、使ったものを包むのにも使えます。

3. 大きめに覆えるガーゼと、清潔なタオル

同じ資料は、清潔で厚みがあり、出血部位を十分に覆うことのできるガーゼやタオルなどを当て、その上から手で圧迫する方法を基本としています。市販のセットに入っているばんそうこうや小さなガーゼでは、覆いきれない大きさのけがもあります。

大判のガーゼ、滅菌パッド、三角巾、それに使っていない清潔なタオル1枚を足しておくと、手当ての幅が広がります。タオルは収納の都合で箱に入らなければ、箱のとなりに置いておくだけでもかまいません。

判断の軸

1. 家に置く分と、持ち出す分を分ける

在宅避難なら家の救急箱をそのまま使えますが、避難所や職場へ向かうときに箱ごとは持てません。小さなポーチに、ばんそうこう数枚、ガーゼ、テープ、使い捨て手袋、薬の数日分を小分けして非常用持ち出し袋の中身に入れておくと、どちらの場面にも対応できます。

2. 数は家族の人数から数える

市販のセットの数量は、1人が1回使う分を想定したものが多くなります。4人家族で数日を過ごす前提なら、ばんそうこうや手袋は箱の中身を数えて、足りない分を足します。使い切りのものは「人数 × 数日分」で数えると、数え漏れが起きにくくなります。

3. 水が使えない前提で考える

断水していると、手を洗う水も、道具をすすぐ水も限られます。手指をふけるウェットティッシュや清浄綿を一緒に入れておくと、水を使う場面を減らせます。手当てのあとに流水で手を洗えるよう、生活用水を別に確保しておけると、より安心です。

4. 期限のあるものを入れ替える

薬、消毒液、ウェットティッシュ、滅菌パッドには、期限や交換の目安があります。年に1回、箱を開けて表示を確かめる日を決めておくと、使うときに期限が切れていた、ということが起きにくくなります。防災週間や家族の誕生月に合わせると忘れにくいです。

5. 置き場所と使い方を共有する

救急箱がどこにあるかを家族の全員が知っているか。ここは意外と差が出るところです。寝室から取りに行ける場所か、停電の暗さでも手が届く場所か。中身の使い方も、何でもない日に一度いっしょに見ておくと、落ち着いて動けます。

基準を満たすタイプの例

順位ではなく、上の軸で分けたタイプです。どれが合うかは、家族の人数と置き場所で決まります。

タイプ向いている状況見ておく点
市販のセットを土台にして足すゼロからそろえる。何を入れるか迷っている中身の一覧と数量、使い捨て手袋が入っているか、箱の大きさ
自分でポーチに組むすでに救急箱がある。持ち出す分だけ小さくまとめたい1人分の数、薬の小分け、片手でも開けられるか
家に置く箱と持ち出す袋の二本立て家族が3人以上。在宅避難と避難の両方を想定する二重に用意するものと分けるもの、入れ替えの日をそろえられるか
車に置く分通勤や送迎で車に乗る時間が長い夏の車内の温度で傷むもの(薬・ウェットティッシュ)は入れない

このサイトでは、実際に使っていない製品の使用感は書いていません。最後は中身の一覧で、家族の人数と置き場所に合うかを確かめて選んでください。

店舗・事務所の場合

労働安全衛生規則は事業者に対して、負傷者の手当に必要な救急用具と材料を備え、その備付け場所と使用方法を労働者に周知させることを求めています(第633条)。あわせて、救急用具と材料を常時清潔に保つことも定められています。家庭と違うのは、置いてあるだけでは足りず、「どこにあるか」「どう使うか」が働く人に伝わっている状態まで求められる点です。棚の場所を朝礼で一度共有し、中身を確かめる担当と月を備蓄の台帳に書いておくと、点検が続きます。事業所の備蓄全体は事業所の防災備蓄にまとめました。

まとめ:次にやること

  1. 救急箱を開けて、中身を数える。期限の切れたものを出すだけでも、使える箱に戻ります
  2. 足したい3つを買い足す。いつも飲んでいる薬とお薬手帳の写し、使い捨て手袋、大きめに覆えるガーゼです
  3. 置き場所を家族で共有する。取りに行ける場所か、暗くても分かるかを確かめます

家にあるものと足りないものは、防災備蓄診断で人数と住まいから一覧にできます。

参考資料

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