防災備蓄診断

公開 2026-10-04

吸水土のう・水のうの選び方:簡易水のうの作り方と、止水板との組み合わせ

吸水土のうと水のうは、止水板では埋められない隙間と排水口を受け持ちます。出入口1mあたり5〜6袋という必要数の目安、吸水タイプと水を入れるタイプの違い、ごみ袋で作る簡易水のうの手順、自治体の土のう配布まで判断の軸をまとめました。

吸水土のう・水のうは「低い入り口と隙間を埋める」役です

止水板を調べていると、よく一緒に出てくるのが吸水土のうと水のうです。板と比べると地味ですが、玄関の段差の隙間、ガレージの端、浴室や洗濯機の排水口のように「板では埋められない場所」を受け持つのがこの2つです。

東京都下水道局は、土のう・水のう・止水板によって水深の浅い浸水を軽減できるとしています。川の氾濫のような大きな水を止めるものではなく、入り込む水の量を減らし、避難や片付けまでの時間を稼ぐための備えですね。そのうえで、判断の軸を順に見ていきましょう。

判断の軸

1. どこに置くかを先に決める

浸水の深さで、できることが変わります

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浸水の深さごとに起きること30cmで車の走行が難しくなり、50cmで1階の床の高さに達して大人も歩行が困難になり、車が浮くこともある。50cmを超えたら2階などへ。玄関止水板は浅い浸水向け30cm車の走行が難しくなる50cm1階の床の高さ。大人も歩行が困難50cm超外へ出ず、2階など高いところへ(垂直避難)深さは目安です。流れの速さや、家の周りの地形によって同じ深さでも危険度が変わります。
止水板は、浅い浸水に備えるものです。守れる高さは製品ごとに違うので、製品の仕様と、ハザードマップの自宅の想定浸水深を見比べてください。50cmを超える想定なら、止水板より先に避難の判断が要ります。

出典:国土交通省「水害ハザードマップ作成の手引き」(令和8年5月版)をもとに編集部作成

買う前に、家の中で水が入ってきそうな場所を歩いて見ておきます。置き場所が決まらないと、必要な袋の数も決まりません。

  • 玄関ドアの下、勝手口、掃き出し窓のレール
  • ガレージや駐車場の出入口(道路より低いことが多い)
  • 浴室・洗濯機・1階のトイレの排水口
  • 半地下の部屋や、地下への階段

このうち排水口は、吸水土のうより水のう袋の役目です。強い雨で下水道管の中の水位が上がると、道路面より低いところにあるトイレや風呂場から下水が逆流することがあります(東京都下水道局)。水を入れた袋をのせて重しにすると、その入り込みを抑えられます。

なお半地下は、水がたまると水圧でドアが開きにくくなります。浸水が始まってから下へ降りるのは避けて、袋を置くのは階段の上側にしてください。

どのくらいの高さまで備えるかは、国土交通省の重ねるハザードマップで自宅の想定浸水深を見ておくと決めやすくなります。深い浸水が想定される地域では、上の階への避難を優先して、袋は初期の入り込みを減らす補助と考えます。

2. 何袋あれば足りるか

江戸川区は土のうの目安として、出入口1メートルあたり5〜6袋、2段に積むなら10袋程度を示しています。玄関の幅が1メートルなら、1段で5〜6袋、少し高さを出したいなら10袋前後ということですね。

出入口の幅を測って、置きたい場所の数だけ掛け算してみてください。「1袋あれば安心」という量ではないことが分かります。

3. 吸水タイプか、水を入れるタイプか

同じ「水のう」でも、中身の作り方が違います。

  • 吸水土のう:使う前は薄く軽い袋で、水に浸すと中の吸水材が膨らんで土のうになります。土や砂を用意せずに済み、保管場所も小さくて助かります。
  • 水のう袋:袋に水を入れて重しにします。排水口の上にのせる使い方や、出入口に並べる使い方ができます。

吸水タイプを選ぶときに見ておきたいのは次の点です。膨らむまでの時間(数分かかるものが一般的です)、吸水後の重さ、真水用か、海水や泥水にも対応しているか、そして使い切りか繰り返し使えるか。海水に対応していない吸水材は、海水だと膨らみきらないことがあります。高潮や津波が想定される地域では、表示を確かめてください。

4. 一人で、暗くても置けるか

局地的な大雨は数十分で状況が変わります。「家にいる人が一人で、雨の中でも10分以内に並べられるか」を基準にすると、候補が絞れます。

重さは水の量から考えると分かります。40リットルの袋に半分まで水を入れると約20キログラムです(葛飾区)。これを1メートルあたり5〜6袋ですから、水を入れて並べるのはかなりの力仕事になります。水道のそばに保管できるか、注水口がバケツから入れやすい大きさかも見ておきたい点です。

5. 保管と、使ったあとの始末

吸水土のうは濡れない場所で、玄関の収納など暗くても手が届くところに置いておきます。

使ったあとは水を含んだ重い袋が残ります。使い切りのタイプは処分方法が自治体のごみの区分で変わるので、買うときに調べておくと当日あわてません。繰り返し使えるタイプは、乾かす場所も決めておきましょう。

買う前に:ごみ袋で作る簡易水のう

家にあるもので代わりが作れます。東京都下水道局と葛飾区が作り方を公開しています。

  1. 40リットル程度のごみ袋と土のう袋を1枚ずつ用意します。
  2. ごみ袋に、**持ち運べる程度まで(半分くらいまで)**水を入れます。半分で約20キログラムです。
  3. 袋の空気を抜き、ねじりながら口を結びます。
  4. 土のう袋に入れて端のひもを絞り、ねじりながら口を下に折り返してひもを2周させます。
  5. 水の入り口に連結して並べます。積み重ねると、水を受け止められる高さが上がります。

土のう袋がないときは、ごみ袋を二重にして半分ほど水を入れる方法もありますが、この場合は水深10センチメートル程度が限度とされています(葛飾区)。段ボール箱に敷き詰めると強度が上がり、ポリタンクやプランターをレジャーシートで包む方法も紹介されています。

買うかどうかを決める前に、一度試してみると感覚がつかめます。台風が近づいたときの段取りは台風が近づいたら:上陸48時間前からの備えチェックリストにまとめています。

自治体の土のうステーションも調べておく

土のうを無償で配っている自治体もあります。江戸川区は区内47か所に「土のうステーション」を置いて、どなたでも自由に取り出せるようにしていて、土のうは返却不要、繰り返し使えるので家庭で保管してよいとしています。川崎市や浦安市のように、24時間持ち出せる形で設置している自治体もあります。

お住まいの市区町村のサイトで「土のう」を調べると、配布場所や申し込み方法が出てきます。買う前に見ておくと無駄がありません。

止水板との組み合わせ方

据え置きの止水板は決まった出入口を繰り返し守るのに向きますが、床が平らでないと板の下に隙間ができます。そこを埋めるのが吸水土のうと水のうです。

  • 出入口:止水板で面を作り、下側の隙間に吸水土のうを足す
  • 排水口:水のう袋をのせて逆流を抑える
  • 板が合わない場所(幅が変わる、段差がある):袋だけで並べる

板そのものの選び方と補助金の使い方は止水板・水のうの選び方に書いています。

店舗・事務所の場合

店舗や事務所は出入口が広く、シャッターやガラス扉の下から水が入ります。1メートルあたり5〜6袋の目安で数えると、間口3メートルで15〜18袋。営業中に雨が強まったとき、誰がどの順番で並べるかを決めておかないと、数がそろっていても間に合いません。置き場所は従業員全員が知っている状態にしておきましょう。自治体によっては、事業所も対象に含む補助制度があります(止水板・浸水対策の補助金一覧)。

基準を満たすタイプの例

順位ではなく、上の軸で分けたタイプの整理です。どれが合うかは、水の入り口と置ける数で決まります。

タイプ向いている状況見ておく点
吸水土のう(真水用)保管場所が小さい。土や砂を用意できない都市部。内陸で高潮の想定がない膨らむまでの時間、吸水後の重さ、使い切りか、保管できる年数
吸水土のう(海水対応)高潮・津波の想定がある沿岸部海水対応の表示、真水でも使えるか、吸水後の重さ
水のう袋(繰り返し使える)排水口の逆流を抑えたい。年に何度か使う可能性がある注水口の大きさ、1個の幅と高さ、乾かす場所
ごみ袋の簡易水のう今年の台風期に間に合わせたい。まず試したい水深10cm程度が限度、袋の枚数、作る時間
自治体配布の土のう配布場所が近い。保管スペースがある持ち出せる時間、1袋の重さ、濡れない保管場所

このサイトでは、実際に使っていない製品の使用感は書いていません。最後は仕様の表示で、自宅の出入口の幅と想定浸水深に合うかを確かめて選んでください。

まとめ:次にやること

  1. 出入口の幅を測る。1メートルあたり5〜6袋の目安で、必要な数を出します。
  2. お住まいの自治体の土のう配布を調べる。無償で手に入るなら、買う分を減らせます。
  3. ごみ袋で簡易水のうを1つ作ってみる。約20キログラムの重さと、置くのにかかる時間が分かります。

参考資料

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