公開 2026-10-27
家族の安否確認の決め方:災害用伝言ダイヤル171の使い方と集合場所
電話がつながりにくい数時間を前提に、決めるのは3つ。伝言を預ける番号を1つ、連絡手段の順番、落ち合う場所と時刻です。171とweb171の条件と体験利用日、停電でもかけられる公衆電話の使い方を、総務省消防庁とNTTの資料からまとめました。
連絡がつかない数時間を、前提にして決めておく
大きな地震や大雨のとき、家族がそれぞれ別の場所にいることは珍しくありません。学校、職場、買い物の途中。そんなときにまず知りたいのは「無事かどうか」ですが、災害の直後は、電話がいちばんつながりにくくなる時間帯でもあります。
つながらないこと自体は、こちらではどうにもできません。できるのは、つながらない数時間をどう過ごすかを、先に家族で決めておくことです。決めてあれば、連絡がつかないあいだも「次はこの時間に、この方法で」と動けます。
決めることは、次の3つだけです。
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| ① 伝言を預ける電話番号 | 家族全員が覚えている番号を1つ |
| ② 連絡手段の順番 | 1番目・2番目・3番目を決めておく |
| ③ 落ち合う場所と時刻 | 家が無事なときと、使えないときの2段階で |
① 伝言を預ける電話番号を1つ決める
災害用伝言ダイヤル「171」も、災害用伝言板「web171」も、電話番号をかぎにして伝言を出し入れする仕組みです。家族がばらばらの場所にいても、同じ番号を手がかりにすれば、伝言が行き来します。
NTT東日本のパンフレットも、使い方のポイントの1つめに「電話番号:家族でどの番号にするか決めておきましょう」を挙げています。家の固定電話がなければ、保護者の携帯番号など、家族全員が覚えられる番号を1つ選んでおきましょう。
ここを決めていないと、当日になって「お父さんの番号で登録したつもりが、子どもはお母さんの番号を見ていた」というすれ違いが起きます。番号は紙にも書いて、持ち出し袋と財布に入れておくと安心です。袋の中身は非常用持ち出し袋に入れるものにまとめています。
② 災害用伝言ダイヤル(171)を一度使ってみる
171は、声の伝言板です。使い方は単純で、「171」にかけて、録音は1、再生は2。続けて、①で決めた番号を市外局番から押します。
総務省消防庁の資料では、条件は次のとおりです。
- 1件あたりの録音は30秒以内
- 1つの電話番号に1〜20件まで(被災の規模などによって変わります)
- 保存はサービスの提供が終わるまで。期間を過ぎると自動で消え、自分で消すことはできません
- センターの利用料は無料(NTT東日本・西日本の電話からの録音・再生は通話料も無料)
30秒は、思ったより短い時間です。何を言うかを決めておくと、落ち着いて話せます。NTT東日本は「あいたいよ」という覚え方を示しています。
- あ:あなたの名前(フルネームで)
- い:いまいる場所(具体的に)
- た:だれと一緒か
- い:いたいところはあるか
- よ:よこく(次はいつ連絡するか)
そして、**171はふだんから試せます。**NTT東日本のパンフレットでは、体験利用ができる日として、毎月1日と15日、正月三が日、防災週間(8月30日〜9月5日)、防災とボランティア週間(1月15日〜21日)が案内されています。次は11月1日です。番号を決めたら、その日に家族で1回ずつ録音と再生をしてみてください。一度やっておくと、本番で迷いません。
③ 文字で残す災害用伝言板(web171)
声を残せるのは171の強みですが、周りが騒がしいと聞き取りにくいこともあります。文字で残すなら、インターネットの伝言板web171です。こちらも電話番号を入れて、伝言を登録・確認します。
消防庁の資料では、伝言は1件あたり全角100文字まで、1つの電話番号に10件まで、登録から48時間保存とされています。登録と閲覧に料金はかからず、インターネットの通信料だけが自分の負担です。
先にやっておくと違うことが、2つあります。
- 利用者情報の登録:あらかじめ電話番号と通知先を登録しておくと、伝言が登録されたときに知らせが届きます。災害の最中に「まだかな」と見にいく回数を減らせます
- 暗証番号を使うかどうかを決めておく:暗証番号をつけた伝言は、その番号を知らない人には見られません。家族に伝わっていないと、せっかくの伝言が読めなくなります
なお、171・web171・携帯電話各社の伝言板は互いにつながっていて、171に録音された声の伝言を、あとからパソコンで再生することもできます。どれか1つに絞らなくて大丈夫です。「声でも文字でも、同じ番号に預ける」と決めておけば足ります。
3番目の手段は公衆電話
スマートフォンの電池が切れたとき、停電が長引いたときの3番目の手段が、公衆電話です。総務省の資料は、公衆電話の特徴を2つ挙げています。
- 災害時優先電話:電話が混み合って通信規制がかかるときも、公衆電話は規制の対象外として優先して取り扱われます
- 通信ビルからの給電:電話回線を通して電力の供給を受けているので、停電していてもかけられます
ただし、停電時の使い方には注意点があります。同じ資料では、停電時(液晶ディスプレイや赤いランプが消えているとき)はテレホンカードが使えず、硬貨での通話になるとされています。100円硬貨は、通話料が100円に届かなくてもおつりが出ません。10円玉を何枚か、財布と持ち出し袋に入れておくと安心です。灰色のデジタル公衆電話はバッテリーを積んでいますが、消耗したあとは硬貨も使えなくなります。
災害救助法が適用される規模の災害で広域の停電が起きたときなど、NTT東日本・西日本が必要と判断した場合には、公衆電話からの通話が無料になることもあります。近所の公衆電話がどこにあるかは、落ち着いているうちに一度見ておきましょう。
スマホの電池をできるだけ長く残す備えは、モバイルバッテリーの選び方にまとめています。
落ち合う場所は2段階で決める
連絡手段と同じくらい大事なのが、集合場所です。1か所だけ決めると、そこが使えないときに行き先がなくなります。2段階で考えましょう。
- 家が無事なら、家に集まる:いちばん分かりやすく、備蓄も手元にあります。そのまま過ごす準備は在宅避難の準備にまとめています
- 家が使えないときの避難先:市区町村が指定する避難所・避難場所です。名前と場所を、家族で同じ1か所に決めておきます
あわせて時刻も決めておくと、探し回らずに済みます。「朝9時と夕方5時に集合場所へ行く」と決めてあれば、すれ違っても次の機会があります。
もう1つ、揺れた直後に無理に移動しないことも、家族で先に話しておきたいところです。安否が分からないと迎えにいきたくなりますが、余震や道路の状況が分からないうちは、安全な場所にとどまった方が落ち着いて動けます。学校や保育園の引き渡しのきまり(誰が迎えにいけるか、引き渡しまで預かってもらえるのか)も、年度の初めに配られる資料を一度読んでおくと、当日の判断が軽くなります。
店舗・事務所をお持ちの方へ
従業員の安否確認は、家庭の決めごとと同じ形では回りません。連絡の手段を1つに頼らず、報告してもらう項目(本人の安否、家族の状況、出社できるか)を先に決めて、集計する担当を置くところまでが準備です。事業所側の進め方は、同じ運営者の「防災経営」の安否確認の方法と訓練にまとめています。
まとめ:今日やること
- 伝言を預ける電話番号を1つ決めて、家族全員に伝える(紙にも書いておく)
- 次の体験利用日(毎月1日・15日)に、171の録音と再生を1回ずつ試す
- 集合場所を2段階と時刻で決め、10円玉を財布と持ち出し袋に入れる
参考資料
- 総務省消防庁「災害用伝言ダイヤル(171)」(防災・危機管理e-カレッジ)
- 総務省消防庁「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」(防災・危機管理e-カレッジ)
- NTT東日本「災害用伝言ダイヤル・災害用伝言板のご案内」(パンフレット)
- 総務省「公衆電話の特徴と使用方法」