防災備蓄診断

公開 2026-09-20

カセットガス発電機の選び方:出力の目安とボンベの本数、屋外で使う条件

カセットガス発電機は燃料を家に置いておけるのが強みです。同時に使う機器の消費電力と定格出力の見方、ボンベの本数の数え方、屋外で使うための条件、音と保管、店舗・事務所での考え方まで判断の軸をまとめました。

カセットガス発電機は「燃料を置いておける」ことが強みです

停電が2日、3日と続くと、モバイルバッテリーやポータブル電源の残量が見えてきて、「充電する手段そのもの」が欲しくなります。そこで候補に挙がるのが発電機です。なかでもカセットガス式は、コンビニやスーパーで買えるカセットボンベを燃料にするため、備えとして家に置いておきやすいのが特徴です。

一方で、発電機は屋外で使う機械です。買う前に「何を動かしたいか」と「どこに置いて運転するか」が決まっていないと、持っていても使えません。この2つを含めて、判断の軸を順に見ていきます。

なお、家庭の電源は1つで賄う必要はありません。照明とラジオは乾電池、スマホはモバイルバッテリー、足りない分をポータブル電源や発電機で、と役割を分けたほうが無理がありません。

全部をポータブル電源で賄う必要はありません

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電源を役割で分ける乾電池で照明とラジオ、モバイルバッテリーでスマホ、残りをポータブル電源で賄う。乾電池照明・ラジオ安い・長期保管できるモバイルバッテリースマホ1人1本。約74Whポータブル電源扇風機・冷蔵庫・医療機器上の2つで足りない分だけ左ほど安く、長く保管できます。右へ行くほど1台の単価が上がります。ポータブル電源は高額なので、懐中電灯・ラジオ・モバイルバッテリーをそろえてからで大丈夫です。
照明とラジオは乾電池、スマホはモバイルバッテリーで済みます。ポータブル電源は、その2つで賄えない機器のためだけに容量を決めると、無駄に大きな1台を買わずに済みます。

出典:防災備蓄診断 編集部作成

判断の軸

1. 何を動かしたいかを先に決める

発電機で動かせるのは、同時に使う機器の消費電力の合計が、発電機の定格出力に収まる範囲です。まず、つなぎたい機器の消費電力(W)を、本体の表示や取扱説明書で書き出して合計します。

電子レンジや電気ケトル、ドライヤーのように熱を出す家電は消費電力が大きく、小型の発電機では動かないことがあります。お湯を沸かす・温めるはカセットコンロの役割、と分けておくのが現実的です。また冷蔵庫のようにモーターを使う機器は、動き始めに普段より大きな電力が要ることがあります。消費電力ぴったりで選ばず、余裕を見ておくと安心です。

2. 燃料:カセットガスとガソリンの違い

同じくらいの出力でも、燃料で性格が変わります。

  • カセットガス式:燃料が劣化しにくく、日用品として買い足せます。保管の手間が少なく備蓄向きですが、1回に積める燃料が少なく、連続運転時間は短めです。
  • ガソリン式:タンクが大きく長時間の運転に向きます。ただしガソリンは燃えやすく、携行缶での購入や保管には決まりがあります。購入のときの手続きは販売店で確かめてください。

「災害のときだけ使う」ならカセットガス式、「年に何回も使う」ならガソリン式、という分け方が分かりやすいと思います。

3. 連続運転時間と、ボンベの本数

連続運転時間は製品ごとに違い、つなぐ機器の負荷でも変わります。仕様表で、ボンベ何本で何時間動くかを確かめます。

たとえば「1日2時間だけ動かす」と決めるなら、3日分で運転は6時間です。これを仕様表の連続運転時間で割ると、必要なボンベの本数の見当がつきます。

このボンベは、カセットコンロの分とは別に数えます。コンロ用の本数はカセットボンベの必要本数 計算ツールで出せるので、発電機の分はそこに上乗せして考えてください。

4. 使う場所:屋外の風通しのよいところ

発電機の排ガスには一酸化炭素が含まれます。製品評価技術基盤機構(NITE)や消費者庁は、停電のときの発電機による一酸化炭素中毒について、毎年のように注意を呼びかけています。

  • 屋内では使いません。ガレージ、物置、テント、車の中も同じです
  • ベランダや玄関先など、囲まれた場所や窓・給気口の近くも向きません
  • 屋外でも、建物から離れた風通しのよい場所を選びます

買う前に「自宅のどこに置いて運転し、どこから延長コードを引き込むか」を実際に歩いて決めておきましょう。集合住宅で屋外に置ける場所がない場合は、発電機よりポータブル電源のほうが現実に使えます。ここが最初の分かれ道です。どの容量クラスが要るかは1000Whのポータブル電源でできることで計算できます。

5. 音と、重さ・置き場所

発電機には運転音があります。夜間や住宅が近い場所では気になるので、カタログの騒音値も見ておきたい点です。表記の仕方は製品で違うことがあるので、比べるときは同じ表記どうしで見ます。重さも製品で差があるので、仕様表の質量を見て、屋外まで運べるか、経路に段差がないかを確かめましょう。

6. 出力の質と、周波数の切り替え

パソコンや通信機器をつなぐなら、仕様表で出力の波形(正弦波インバーターかどうか)と、つなげる機器についてのメーカーの案内を確かめます。電気の周波数は地域で50Hzと60Hzに分かれるので、住んでいる地域に合わせられるかも確かめます。

7. 保管と、年に一度の試運転

カセットボンベは直射日光と高温を避け、置き場所は缶の注意書きに従います。日本ガス石油機器工業会は、ボンベを製造後約7年以内に使い切るよう案内しています。製造年月日は缶底に8桁で印字されています。

発電機本体は、箱に入れたままだといざというとき動かせません。年に一度、できれば台風シーズンの前に屋外で試運転をして、エンジンオイルの量を確認しておきましょう。家族のもう1人が使い方を知っていると安心です。

基準を満たす選択肢の例

順位ではなく、上の軸で分けたタイプの例です。どれが合うかは、動かしたいものと置き場所で決まります。

タイプ向いている状況見ておく点
カセットガス式・据え置き災害のときだけ使う。燃料を家に置いておきたい正弦波インバーターかどうか、ボンベ2本での連続運転時間、重さ
カセットガス式・軽さとUSB出力を重視一人でも屋外まで運びたい。スマホを直接つなぎたい本体質量、USB出力の有無、周波数の切り替え
ガソリン式長時間の連続運転が要る。普段も使う機会がある燃料タンク容量と連続運転時間、燃料の保管場所と管理

このサイトでは特定の製品はすすめていません。仕様表で、動かしたい機器の消費電力と置き場所に合うかを確かめて選んでください。

店舗・事務所の場合

店舗や事務所では、レジ・通信機器・照明・冷蔵ケースのうち「止まると営業が続けられないもの」を先に絞ります。業務用の冷蔵ケースやエアコンは消費電力が大きく、小型の発電機では動かないことがあるので、発電機で賄う範囲は照明・通信・決済までと割り切るのが現実的です。屋外の運転場所と延長コードの経路、夜間の音を先に決めたうえで、営業中に停電したとき誰が出して動かすのかを決め、複数の従業員が使い方を知っている状態にしておくと備えが機能します。

補助金の対象になることがあります

発電機そのものを対象にした制度は多くありませんが、浸水対策や事業継続の枠組みの中で対象になることがあります。東京都調布市の止水板設置工事等助成金は、防災市民組織や管理組合による可搬式非常用発電機の購入(上限10万円)も対象です。宮崎県西都市の事業継続力強化事業補助金は、国の認定を受けた計画に基づく自家発電機などの導入費を3分の2以内・上限20万円で補助する事業者向けの制度で、交付決定のあとに導入する流れです。調布市の制度は、令和元年10月12日以後に実施した事業が対象です。金額や要件は年度で変わるので、申請の前に各自治体に確かめてください。

まとめ:次にやること

  1. 動かしたいものを3つまで書き出し、消費電力(W)を合計する。合計が、検討している発電機の定格出力に収まるかで判断します。
  2. 屋外の運転場所と、延長コードの経路を決める。置ける場所がなければ、発電機よりポータブル電源が向いています。
  3. ボンベの本数を、コンロ用とは別に数える。停電の備え全体は停電への備えに時間軸でまとめています。わが家に足りないものは停電に備える防災診断で確認できます。

どのタイプを選んでも、屋外の風通しのよい場所で使うこと、年に一度の試運転が必要なことは同じです。

参考資料

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