防災備蓄診断

公開 2026-09-15

断水への備え:飲み水・トイレ・生活用水を分けて考える必要量の出し方

断水で最初に困るのは飲み水よりトイレです。飲み水は1人1日3L、トイレは1人1日5回分という目安をもとに、水の役割を3つに分けて必要量を出す方法と、給水所から水を運ぶ準備までをまとめました。

断水は、地震のときだけ起こるものではありません

蛇口をひねっても水が出ない日のことは、なかなか想像しにくいですね。断水は大きな地震のあとだけでなく、大雨のあとの濁水、冬の水道管の凍結、老朽化した水道管の破損など、いろいろな理由で起こります。しかも電気に比べると復旧までの時間が長くなりやすく、過去の大きな地震では1週間を超えた地域もありました。

3日分では足りないことがあるのは、水道とガス

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ライフラインが戻るまでの目安と、備蓄日数過去の地震では電気は約1週間で大半が戻ったが、水道と都市ガスは1か月以上かかったことがある。発災3日7日電気過去の地震では約1週間で大半が戻った水道1か月以上かかったことがある →ガス都市ガスも1か月以上かかったことがある →最低3日分。大規模災害に備えるなら7日分。数量は「人数 × 基準 × 日数」で決まります。
阪神・淡路大震災では、電気は6日後に復旧しましたが、水道と都市ガスは約3か月かかりました。首都直下地震の想定でも、水道は約1か月、都市ガスは約5週間です。首相官邸は、大規模災害に備えて1週間分の備蓄が望ましいとしています。日数は地域と被害の程度で大きく変わります。

出典:内閣府「ライフライン・インフラの復旧状況」(2011年)、中央防災会議「都心南部直下地震の被害想定」(令和7年12月)をもとに編集部作成

断水の備えを「水を買っておくこと」とだけ考えると、たいてい量が足りません。水には飲む・トイレを始末する・洗ったり拭いたりするという3つの役割があり、それぞれ必要な量も、代わりになるものも違うからです。3つに分けて数えると、わが家に何がどれだけ要るのかがはっきりします。

1. 飲み水:1人1日3リットルで数える

飲料水の目安は、首相官邸が示している1人1日3リットルです。農林水産省は、この3リットルを飲料用と調理用の量としています。

4人家族で3日分なら36リットル、2リットルのペットボトルで18本。7日分に伸ばすと84リットル、42本になります。数字にすると急に多く感じますが、箱で置く場所を分散させれば意外と収まります。玄関、寝室のクローゼット、キッチンの下と分けておくと、家具が倒れて取り出せなくなる事態も避けられます。人数と日数を入れて本数を出すだけなら、備蓄水の計算ツールが早いです。

長期保存水でなくても、普通のミネラルウォーターを多めに買って、飲んだ分だけ補充していく形(ローリングストック)で構いません。大切なのは種類より、切らさないことです。

2. トイレの水:流せない前提で数える

断水すると、飲み水と同じくらい早く困るのがトイレです。水が止まれば水洗トイレは流せませんが、飲食は1食くらいなら我慢できても、トイレは我慢できません。

バケツに水をくんで流す方法を聞いたことがあるかもしれませんが、地震のあとは注意が必要です。排水管が壊れていると、流した水が下の階や屋外であふれてしまうことがあります。集合住宅では「排水管の点検が済むまで流さない」と管理組合が決めている建物もあるので、確認しておくと慌てません。

そこで使うのが携帯トイレです。目安は1人1日5回分。4人家族で3日分なら60回分、7日分なら140回分になります。東京都は、マンションでは「トイレはまず流さない」ことを全戸で徹底するよう呼びかけています。外のトイレまで階段で往復するのも大変なので、在宅避難を考えているなら7日分を目指してください。選び方と保管のコツは携帯トイレの選び方にまとめています。

凝固剤つきの袋のほかに、中身を入れる防臭袋と、使用済みの袋をためておくふた付きのバケツがあると、においの問題がだいぶ軽くなります。

3. 生活用水:洗う・拭く・流すための水

飲み水とトイレの目処が立ったら、残りが生活用水です。手を洗う、食器を洗う、体を拭く、床を掃除する、といった用途で、首相官邸は生活用水も飲料水とは別に必要としていますが、量の目安は示していません。「使う分をためておく」「水を使わない方法に置き換える」の2本立てで考えます。

ためる方法でいちばん手軽なのは、浴槽に水を張っておくことです。台風の接近や水道工事の予告など、断水が予想できるときは前日のうちにためておきましょう。小さなお子さんがいるご家庭では、ふたを閉め、浴室の入口を開けたままにしないなどの配慮をしてください。

置き換える方法も合わせて用意しておくと、ためた水が長持ちします。

  • 食器にラップやポリ袋をかけて使い、汚れたらはがす
  • 体を拭くシートやウェットティッシュを、人数分の日数で用意しておく
  • 調理は湯せんできるポリ袋を使い、鍋の湯を繰り返し使う

3つの用途を並べてみると

用途数量の目安備えるもの
飲む・調理する1人1日3L保存水・ペットボトルの水
トイレ1人1日5回分携帯トイレ(凝固剤・防臭袋)
洗う・拭く・掃除する決まった目安はなし浴槽の水、体拭きシート、ウェットティッシュ、ラップ・ポリ袋

飲み水とトイレは人数と日数で計算できます。生活用水だけは「ためられる量」と「使わずに済ませる工夫」で決まる、と分けて考えると整理しやすくなります。

マンションでは、停電と断水が同時に来ます

ポンプで各階へ水を上げている建物では、停電すると水が出なくなることがあります(東京都)。水道が無事でも断水するわけです。ご自宅の建物がどの給水方式かは、管理会社か管理組合に聞けば分かります。

エレベーターも止まりますから、給水車が来ても水を階段で運び上げることになります。10リットルの水はそのまま10キログラムですから、上の階にお住まいなら、無理のない量に分けて往復するほうが安全です。備蓄そのものを多めにしておけば、運ぶ回数を減らせます。在宅避難を前提にした準備は在宅避難の準備で詳しく扱っています。

給水所へ行く準備を、先にしておく

断水が長引くと、自治体が給水車や給水拠点で水を配ります。行ってから困らないように、次の3つを先に決めておきましょう。

  • 運ぶ容器:給水袋やポリタンクを人数分。リュックに入れられる袋型だと、両手が空いて階段でも安全です。台車やキャリーカートがあれば、戸建てでも運搬がぐっと楽になります。
  • 行き先:給水拠点は市区町村のウェブサイトや防災マップに載っています。自宅から歩いて行ける場所を、今のうちに見ておきます。
  • 使い切る期間:配られる水は保存水のように長くは置けません。東京都水道局は、水道水をくみ置いた場合、塩素の消毒効果は直射日光を避けた常温で3日程度、冷蔵庫で10日程度としています。給水所の案内に従って早めに使い切ります。容器は事前に洗って乾かしておくと安心です。

まとめ:今日のうちにできる3つ

  1. 家族の人数 × 日数で、飲み水のリットル数と携帯トイレの回数を紙に書き出す
  2. 浴槽に水をためるタイミング(台風の前日、断水の予告が出たとき)を家族で決めておく
  3. 給水拠点の場所を調べ、水を運ぶ袋があるか確かめる

断水は、飲み水・トイレ・生活用水の3つに分けた瞬間に、やることがはっきりします。わが家に必要な数量をまとめて出したいときは、マンション高層階の防災備蓄診断から始めてみてください。住まいと人数を答えるだけで、水とトイレを含めた不足分を数量つきで確認できます。

参考資料

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