防災備蓄診断

公開 2026-09-29

赤ちゃんがいる家の防災備蓄:ミルク・離乳食・おむつを、公的なガイドの目安でそろえる

液体ミルクは水もお湯もいらない。粉ミルクなら軟水とお湯の手段を。離乳食は少なくとも2週間分、紙おむつは新生児・小さいサイズで1日10〜12枚が目安。農林水産省と東京都のガイドをもとに、持ち出し袋の中身と、お風呂に水をためない理由までまとめました。

赤ちゃんの物は、支援物資を待てない

大きな災害のあと、自治体も赤ちゃん用のミルクやおむつを用意しています。ただ、届くまでには時間がかかり、届いても、ふだんのミルクやサイズと同じとは限りません。東京都のガイドラインには、被災した保護者の次のような声が紹介されています。

  • 「ミルクとおむつを多めに買い置きしていたので良かった」
  • 「余震の続く中、家に入ってミルクやおむつを取り出さなければ、救援物資が届くまでもたなかった」

この記事では、農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」(平成31年3月)と、東京都「妊産婦・乳幼児を守る災害対策ガイドライン」(平成26年3月一部改訂)をもとに、赤ちゃんのいる家庭でそろえておくものをまとめます。

ミルクの備え

農林水産省のガイドは、母乳で足りない分は粉ミルクを使えるように、粉ミルクと哺乳ビンを備えておくと安心だとしています。紙コップや使い捨てのスプーンも役に立ちます。飲料水は、調乳用に多めに備えます。

液体ミルクは、水もお湯もいらない

液体ミルクは、調乳をせずにそのまま飲ませられます。水も、お湯を沸かす熱源もいりません。農林水産省のガイドは、保存と飲ませ方について次の点を挙げています。

  • 常温(おおむね25℃以下)で保存する
  • 飲ませる前に、表示と、容器に傷や破れがないかを確かめ、よく振る
  • 開けたらすぐに飲ませる。飲み残しは与えない

哺乳ビンに入ったタイプのほか、紙パックや缶のタイプもあり、その場合は使い捨てのカップや哺乳ビンに移して飲ませます。

粉ミルクなら、調乳の水とお湯を用意する

粉ミルクを作るには、清潔な哺乳ビン(なければ紙コップやスプーンでも可)と、飲料水、お湯を沸かす手段が要ります。

  • 水:水道水が使えないときは、国産のミネラルウオーター。給水車の水は、その日のうちに使う。井戸水は使わない
  • 硬度の高い水は避ける:赤ちゃんは腎臓の働きが未熟なため、硬度の高い水で作ると、ミネラルのとりすぎで負担がかかるおそれがあります。軟水が望ましいとされています
  • お湯:一度沸騰させたお湯で作り、すぐに冷まして、手首に一滴たらして生温かければ飲ませられます

カセットコンロとボンベは、調乳のお湯のためにも役立ちます。

ふだんと違うミルクや乳首を嫌がることがある

東京都のガイドラインは、母乳で育てている場合や、ふだん使っていないミルク・乳首を嫌がることがあるため、平常時に試して用意しておくことを勧めています。アレルギー用ミルクや特殊ミルクを飲んでいる場合は、必ず家庭で用意しておきます。自治体の備蓄にあるとは限りません。

使い捨て哺乳ビンは、替えも用意する

哺乳ビンを洗う水が足りないときは、使い捨ての哺乳ビンが役に立ちます。ただし、1回使ったら捨てるものなので、替えの乳首や本体が足りなくなったら、紙コップで飲ませるなどの工夫が要ります。

母乳のこと

農林水産省のガイドは、災害のときに一時的に母乳が出なくなっても、赤ちゃんは吸っているだけで安心し、吸わせ続けることで出てくるようにもなる、としています。困ったときは医療や栄養の担当者に相談し、頑張りすぎないことが大事だとしています。

離乳食の備え:少なくとも2週間分

農林水産省は、災害が起きてからライフラインが戻るまで1週間以上かかるケースが多いとしています。離乳食は調理の道具が多く、それを洗う水も要ります。

そこで農林水産省のガイドは、ビン詰やレトルトの離乳食を、少なくとも2週間分備えることを勧めています。

  • 月齢で食べられるものが変わるので、次の段階に進むときは、前の月齢のものを使いながら、次の月齢のものを買い足していく
  • ふだんから使って、食べ慣れておく
  • お菓子や飲み物など、子どもが大好きなもの、落ち着けるものも備えておく

おむつとおしりふき

東京都のガイドラインが示す、1日に使う枚数の目安です(日本衛生材料工業連合会の調べ)。

種類1日の目安
紙おむつ(新生児・小さいサイズ)10〜12枚(尿が出たらすぐ替える)
紙おむつ(幼児サイズ)7〜8枚(昼は3時間おき、夜は7〜8時間おき程度)
おしりふき6〜8枚(ふだんの月の使用量は200〜250枚)

赤ちゃんの人数・おむつのサイズ・日数から枚数を出すなら、赤ちゃんの防災備蓄 計算ツールが早いです。

災害のときは、下痢など体調を崩す子どもが多くなるため、使う枚数は多めに見込むほうがよいとしています。成長に合わせて、サイズも見直します。

おむつ・おしりふき・ごみ袋・子どもの着替えは、ひとまとめにしておくと取り出しやすくなります。おしりふきがないときは、ティッシュペーパーを水でぬらして代わりにできます。

持ち出し袋に入れるものの例

東京都のガイドラインは、母子のための持ち出し品の例として、次のものを挙げています。

  • 母子健康手帳(医療機関で使う書類のコピー、診察券、血液検査の結果などを挟んでおくとよい)、お薬手帳
  • 飲料水(乳幼児の分も)、粉ミルク、プラスチックの哺乳ビン、哺乳ビンの消毒剤、紙コップ
  • タオルやガーゼのハンカチ、子ども用の歯ブラシ
  • 紙おむつ(成長に合わせたもの)、おしりふき
  • おぶいひも(抱っこひも)、子どもの薬、お気に入りのおもちゃ、名札
  • 離乳食を始めていれば:離乳食、離乳食用のスプーン、おやつ
  • 歩けるなら:靴

子どもを連れていると、重い荷物は持てません。ガイドラインは、実際に持ち出し袋を作って持ってみることを勧めています。

母子健康手帳には、妊娠の経過、子どもの成長や予防接種の記録が書いてあります。かかりつけではない病院にかかるときにも役に立つので、ふだんから持ち歩きます。

家の中の安全:お風呂に水をためておくのは向かない

家具の固定、照明の落下防止、ガラスの飛散防止は、赤ちゃんを守る基本の対策です。東京都のガイドラインは、これらが子どもの不慮の事故を防ぐことにもつながるとしています。

一方、防災の備えとしてよく勧められる「お風呂に水をためておく」は、子どもがおぼれる事故を防ぐ観点から、乳幼児のいる家庭には向かないとしています。生活用水は、ポリタンクや給水袋で用意します。

賃貸住宅でも、壁に穴を開けない方法で家具を固定できます。

まとめ

  • ミルクとおむつは、支援物資を待たずに家庭で多めに備える
  • 液体ミルクは水もお湯もいらない。開けたらすぐ飲ませ、飲み残しは与えない
  • 粉ミルクなら、軟水の飲料水とお湯の手段、哺乳ビン(なければ紙コップ)を
  • アレルギー用・特殊ミルクは必ず家庭で。ふだん使わないミルクや乳首は平常時に試しておく
  • 離乳食はビン詰やレトルトを少なくとも2週間分
  • おむつは新生児・小さいサイズで1日10〜12枚、幼児サイズで7〜8枚が目安。多めに
  • 母子健康手帳は持ち歩く。お風呂に水をためておくのは避ける

赤ちゃんのいる家庭で何がどれだけ足りないかは、赤ちゃんがいる家の防災備蓄診断で確かめられます。

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