防災備蓄診断

ポータブル電源は、何を何時間動かすかで容量が決まる

ポータブル電源は容量クラスによって価格帯が大きく変わり、容量の数字だけを見ても選べません。先に「停電のとき、家で何を何時間動かしたいか」を決めると、必要な容量と出力がほぼ決まります。このページは、その計算を代わりにやるためのものです。

うちに必要な容量は、何Wh?

必要容量の計算

停電のときに動かしたい機器を選び、機器の表示(本体やACアダプターのラベル)にある消費電力(W)を入れると、必要な容量(Wh)が出ます。LED照明・冷蔵庫・ノートPCは、公的な資料の値を初めから入れてあります。

大人
2
子ども
1
停電の日数
停電中に動かしたい機器

必要な容量(カタログ表示の値で)

170Wh

目安のクラス:500Whクラス同時に使うなら、出力 9W以上

LED照明・ランタン
45Wh/日
1日の合計
45Wh

計算式:1日の合計 45Wh × 3日 ÷ 0.8(実際に取り出せる割合の目安。ある製品の公開仕様から逆算)= 170Wh。10Wh単位で切り上げています。

クラスの境目は目安です。500Whクラス・1,000Whクラス・2,000Whクラス・2,000Wh超・拡張バッテリーの順に並べていますが、順位ではありません。実際の製品は、定格出力と電池の種類もあわせて仕様表で確認してください。

停電に備える診断で、電源以外も確かめる

容量の数字は、こう読みます

容量はワット時(Wh)で表されます。機器の消費電力(W)に使う時間(h)をかけたものが、その機器が1日に使う電力量です。これを動かしたい機器ぶん足し、停電が続く日数をかけ、実際に使える割合(80%)で割った値が、カタログで探すべき容量になります。

必要な容量は「消費電力 × 使う時間」で決まります

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機器ごとに必要なワットアワーの目安9WのLED電球を5時間で45Wh。冷蔵庫は401〜450Lで1日約800Wh、201〜250Lで1日約836Wh。LED電球 9W 5時間45Wh冷蔵庫 401〜450L 1日800Wh冷蔵庫 201〜250L 1日836Wh冷蔵庫を1日動かすだけで約800Wh。1,000Whクラスでも1日でほとんど使い切ります。
冷蔵庫は、カタログの4つの容量の区分のどれでも、1日におよそ760〜930Whを使います(2024年の平均)。スマホ・扇風機・医療機器などは、機器の表示(定格ラベル)の消費電力に使う時間を掛けて出してください。表示の容量はそのまま使えず、ある製品の公開仕様から逆算すると、取り出せるのは8割強です。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2025年版」p.69(冷蔵庫の定格内容積別の年間消費電力量の平均、2024年)、p.129(9Wの電球形LEDランプの例)をもとに編集部作成

出力(W)は、容量とは別に見ます

定格出力が機器の消費電力を下回ると、容量が余っていてもそもそも動きません。電気ケトルや電子レンジのように消費電力の大きい機器は、本体の表示の値を見て、定格出力がそれを上回る電源を選びます。冷蔵庫は、動き始めるときに運転中より大きな電力が要ることがあるので、出力に余裕を見てください。

全部をポータブル電源で賄う必要はありません

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電源を役割で分ける乾電池で照明とラジオ、モバイルバッテリーでスマホ、残りをポータブル電源で賄う。乾電池照明・ラジオ安い・長期保管できるモバイルバッテリースマホ1人1本。約74Whポータブル電源扇風機・冷蔵庫・医療機器上の2つで足りない分だけ左ほど安く、長く保管できます。右へ行くほど1台の単価が上がります。ポータブル電源は高額なので、懐中電灯・ラジオ・モバイルバッテリーをそろえてからで大丈夫です。
照明とラジオは乾電池、スマホはモバイルバッテリーで済みます。ポータブル電源は、その2つで賄えない機器のためだけに容量を決めると、無駄に大きな1台を買わずに済みます。

出典:防災備蓄診断 編集部作成

3つのクラスと、向いている世帯

製品は容量でおおまかに3つのクラスに分かれます。並びは容量順で、おすすめ順ではありません。どのクラスが合うかは、上の計算ツールの結果で決まります。

クラス別の目安。重さは、1,000Whクラスだけ日本の公式サイトで仕様を公表している5製品(4社)の幅を載せています。ほかのクラスは製品ごとの仕様表で確認してください。
クラス向いている状況重さの目安
500Whクラス1〜2人。照明とスマホに絞れば3日(大人2人の計算例)製品の仕様表で確かめる
1,000Whクラス照明・スマホ・ノートPCなど(大人2人で3日の計算例)。冷蔵庫は1日でほとんど使い切る約10.6〜12.9kg(1,000Whクラス5製品の公開仕様、2026年9月20日確認)
2,000Whクラス在宅医療機器がある。冷蔵庫を2日ほど動かしたい製品の仕様表で確かめる
2,000Wh超・拡張バッテリー調理家電まで使う。家族が多く日数も長い製品の仕様表で確かめる

電池の種類で、保管のしやすさが変わります

防災用のポータブル電源は、買ってから何年も出番がないことが普通です。長く置いておく前提なら、充放電できる回数と熱に対する安定性で有利なリン酸鉄リチウム(LFP)が向いています。同じ容量では重くなるのが引き換えです。

長く置いておく防災用なら、電池の種類を見ます

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リン酸鉄リチウムと三元系リチウムの違いリン酸鉄は劣化しにくく熱に強い傾向があるが、重く大きくなりやすい。三元系は軽いが、劣化はリン酸鉄より早い傾向。リン酸鉄リチウム(LFP)三元系リチウム(NMC)充放電をくり返したときの劣化しにくい傾向リン酸鉄より早い傾向同じ容量での重さ・大きさ重く大きくなりやすい軽く小さくしやすい熱に対する安定性高い(燃えないわけではない)リン酸鉄より低い保管中の劣化遅い傾向リン酸鉄より早い傾向緑の太字は、その項目で有利なほう。用途によってどちらが合うかは変わります。
電池の中身(セル)を調べた研究データにもとづく一般的な傾向です。容量が8割に減るまでの充放電の回数は、研究データではリン酸鉄が約2,000〜3,000回、三元系は条件により約500〜2,000回でした。製品ごとの回数は、メーカーの仕様書で確かめてください。

出典:科学技術振興機構「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」(令和2年3月)、経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2025年1月)、経済産業省 委託調査報告書(2025年2月)をもとに編集部作成

メーカー公式で仕様を確認する

メーカーの公式ストアは、容量・定格出力・電池の種類・サイクル数・保証期間が型番ごとにまとまっているので、仕様を突き合わせるのに向いています。このサイトでは、特定のメーカーの製品はすすめていません。実際に使用した感想も書いていません。

在宅医療機器がある家庭は、感震ブレーカーと一緒に考える

感震ブレーカーは地震の揺れで電気を止める装置ですが、内閣府のガイドラインは分電盤タイプについて「在宅用医療機器等、通電を継続する必要性の高い回線の確保はできない」と明記しています。内閣府の留意点にも「生命の維持に直結するような医療用機器を設置している場合、停電に対処できるバッテリー等を備えてください」とあります。

つまり、医療機器がある家庭で感震ブレーカーを付けるなら、その電源は別に確保しておく前提になります。容量は上の計算ツールで「在宅医療機器」を選び、取扱説明書の消費電力を入れて出してください。

感震ブレーカーの後付け分電盤とコンセントの条件から、付けられる種類を8問で判定します。医療機器がある場合の注意も出ます。

保管と安全:NITEが挙げる3つのこと

製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2020年から2024年の5年間に報告されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件で、約85%(1,860件中1,587件)が火災につながっています。事故は気温が上がる6月から8月にかけて最も多くなります。製品別ではモバイルバッテリーが最も多く、電動アシスト自転車、充電式掃除機、充電式電動工具に続いて、ポータブル電源も事故の多い区分として挙げられています。

防災用として長く保管するときは、満充電のまま放置せず、半年に1回程度は残量を確認して充電しておきます。残量の管理は、備蓄台帳に点検日を入れておくと忘れません。

よくある質問

ポータブル電源は何Whあれば足りますか?
動かしたい機器の消費電力と使う時間で決まります。たとえば冷蔵庫は1日約800Wh(定格内容積401〜450Lの2024年の平均。資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2025年版」から計算)なので、1,000Whクラスでも1日でほとんど使い切ります。上の計算ツールに機器の表示の消費電力を入れると、ご家庭の条件での数字が出ます。
カタログの容量どおりに使えますか?
使えません。表示されている容量は満充電時の理論値で、変換のロスがあるため、表示どおりには取り出せません。ある製品の公開仕様(1,024Whで850Wの電気ケトルを1時間)から逆算すると8割強で、当サイトの計算ツールは8割で割った値を出しています。
モバイルバッテリーで代わりになりますか?
スマホと小さな照明だけなら、なります。何回充電できるかは、製品に書かれた目安で確かめてください。扇風機・電気毛布・冷蔵庫のようにコンセントにつなぐ機器を動かすには、AC出力のあるポータブル電源が必要です。
在宅で医療機器を使っています。何に気をつければいいですか?
機器の消費電力を取扱説明書で確認し、停電が続く日数分の容量を確保してください。感震ブレーカーを付けている家庭では、内閣府のガイドラインが「分電盤タイプでも在宅用医療機器の回線は確保できない」と明記しているため、電源を別に用意しておく必要があります。停電時の対応は医療機関と機器の販売元にも確認してください。
リン酸鉄リチウムと三元系、どちらを選べばいいですか?
防災用として長く保管するなら、充放電できる回数が多く熱に対して安定しているリン酸鉄リチウムが向いています。同じ容量では重くなるのが引き換えです。持ち運びを優先するなら三元系という選び方もあります。仕様表の「電池の種類」と「サイクル数」で確認できます。
PSEマークがあれば安全ですか?
PSEマークだけでは判断できません。交流100Vを出力するポータブル電源の本体は、電気用品安全法の対象になっていない場合が多く、対象になっているのは付属のACアダプターです。メーカーの連絡先が確かであること、リコール対象でないこと、電池の安全に関する第三者認証の記載があることを確認してください。

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