ポータブル電源は、何を何時間動かすかで容量が決まる
ポータブル電源は容量クラスによって価格帯が大きく変わり、容量の数字だけを見ても選べません。先に「停電のとき、家で何を何時間動かしたいか」を決めると、必要な容量と出力がほぼ決まります。このページは、その計算を代わりにやるためのものです。
- 必要な容量は「消費電力 × 時間 × 日数」です。カタログの容量は理論値なので、実際に使えるのは8割程度と見ます。
- 全部をポータブル電源で賄う必要はありません。照明は乾電池、スマホはモバイルバッテリーで済みます。残りの分だけ容量を決めます。
- 在宅医療機器がある家庭は、感震ブレーカーと一緒に考えます。分電盤タイプでも医療機器の回線は確保できないと、内閣府のガイドラインが明記しています。
うちに必要な容量は、何Wh?
必要容量の計算停電のときに動かしたい機器を選び、機器の表示(本体やACアダプターのラベル)にある消費電力(W)を入れると、必要な容量(Wh)が出ます。LED照明・冷蔵庫・ノートPCは、公的な資料の値を初めから入れてあります。
必要な容量(カタログ表示の値で)
170Wh
目安のクラス:500Whクラス同時に使うなら、出力 9W以上
- LED照明・ランタン
- 45Wh/日
- 1日の合計
- 45Wh
計算式:1日の合計 45Wh × 3日 ÷ 0.8(実際に取り出せる割合の目安。ある製品の公開仕様から逆算)= 170Wh。10Wh単位で切り上げています。
クラスの境目は目安です。500Whクラス・1,000Whクラス・2,000Whクラス・2,000Wh超・拡張バッテリーの順に並べていますが、順位ではありません。実際の製品は、定格出力と電池の種類もあわせて仕様表で確認してください。
停電に備える診断で、電源以外も確かめる容量の数字は、こう読みます
容量はワット時(Wh)で表されます。機器の消費電力(W)に使う時間(h)をかけたものが、その機器が1日に使う電力量です。これを動かしたい機器ぶん足し、停電が続く日数をかけ、実際に使える割合(80%)で割った値が、カタログで探すべき容量になります。
必要な容量は「消費電力 × 使う時間」で決まります
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出典:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2025年版」p.69(冷蔵庫の定格内容積別の年間消費電力量の平均、2024年)、p.129(9Wの電球形LEDランプの例)をもとに編集部作成
出力(W)は、容量とは別に見ます
定格出力が機器の消費電力を下回ると、容量が余っていてもそもそも動きません。電気ケトルや電子レンジのように消費電力の大きい機器は、本体の表示の値を見て、定格出力がそれを上回る電源を選びます。冷蔵庫は、動き始めるときに運転中より大きな電力が要ることがあるので、出力に余裕を見てください。
全部をポータブル電源で賄う必要はありません
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出典:防災備蓄診断 編集部作成
3つのクラスと、向いている世帯
製品は容量でおおまかに3つのクラスに分かれます。並びは容量順で、おすすめ順ではありません。どのクラスが合うかは、上の計算ツールの結果で決まります。
| クラス | 向いている状況 | 重さの目安 |
|---|---|---|
| 500Whクラス | 1〜2人。照明とスマホに絞れば3日(大人2人の計算例) | 製品の仕様表で確かめる |
| 1,000Whクラス | 照明・スマホ・ノートPCなど(大人2人で3日の計算例)。冷蔵庫は1日でほとんど使い切る | 約10.6〜12.9kg(1,000Whクラス5製品の公開仕様、2026年9月20日確認) |
| 2,000Whクラス | 在宅医療機器がある。冷蔵庫を2日ほど動かしたい | 製品の仕様表で確かめる |
| 2,000Wh超・拡張バッテリー | 調理家電まで使う。家族が多く日数も長い | 製品の仕様表で確かめる |
電池の種類で、保管のしやすさが変わります
防災用のポータブル電源は、買ってから何年も出番がないことが普通です。長く置いておく前提なら、充放電できる回数と熱に対する安定性で有利なリン酸鉄リチウム(LFP)が向いています。同じ容量では重くなるのが引き換えです。
長く置いておく防災用なら、電池の種類を見ます
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出典:科学技術振興機構「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」(令和2年3月)、経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」(2025年1月)、経済産業省 委託調査報告書(2025年2月)をもとに編集部作成
メーカー公式で仕様を確認する
メーカーの公式ストアは、容量・定格出力・電池の種類・サイクル数・保証期間が型番ごとにまとまっているので、仕様を突き合わせるのに向いています。このサイトでは、特定のメーカーの製品はすすめていません。実際に使用した感想も書いていません。
在宅医療機器がある家庭は、感震ブレーカーと一緒に考える
感震ブレーカーは地震の揺れで電気を止める装置ですが、内閣府のガイドラインは分電盤タイプについて「在宅用医療機器等、通電を継続する必要性の高い回線の確保はできない」と明記しています。内閣府の留意点にも「生命の維持に直結するような医療用機器を設置している場合、停電に対処できるバッテリー等を備えてください」とあります。
つまり、医療機器がある家庭で感震ブレーカーを付けるなら、その電源は別に確保しておく前提になります。容量は上の計算ツールで「在宅医療機器」を選び、取扱説明書の消費電力を入れて出してください。
感震ブレーカーの後付け分電盤とコンセントの条件から、付けられる種類を8問で判定します。医療機器がある場合の注意も出ます。保管と安全:NITEが挙げる3つのこと
製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2020年から2024年の5年間に報告されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件で、約85%(1,860件中1,587件)が火災につながっています。事故は気温が上がる6月から8月にかけて最も多くなります。製品別ではモバイルバッテリーが最も多く、電動アシスト自転車、充電式掃除機、充電式電動工具に続いて、ポータブル電源も事故の多い区分として挙げられています。
- 正しく買う。連絡先が確かなメーカーから買い、リコールの対象でないことを確認します。
- 正しく使う。高温になる場所に置かない、強い衝撃を与えない。夏の車内や直射日光の当たる窓際は避けます。
- 正しく対処する。充電中や使用中に膨らみ・異臭・発熱などの異常を感じたら、すぐに使用をやめます。
防災用として長く保管するときは、満充電のまま放置せず、半年に1回程度は残量を確認して充電しておきます。残量の管理は、備蓄台帳に点検日を入れておくと忘れません。
よくある質問
- ポータブル電源は何Whあれば足りますか?
- 動かしたい機器の消費電力と使う時間で決まります。たとえば冷蔵庫は1日約800Wh(定格内容積401〜450Lの2024年の平均。資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2025年版」から計算)なので、1,000Whクラスでも1日でほとんど使い切ります。上の計算ツールに機器の表示の消費電力を入れると、ご家庭の条件での数字が出ます。
- カタログの容量どおりに使えますか?
- 使えません。表示されている容量は満充電時の理論値で、変換のロスがあるため、表示どおりには取り出せません。ある製品の公開仕様(1,024Whで850Wの電気ケトルを1時間)から逆算すると8割強で、当サイトの計算ツールは8割で割った値を出しています。
- モバイルバッテリーで代わりになりますか?
- スマホと小さな照明だけなら、なります。何回充電できるかは、製品に書かれた目安で確かめてください。扇風機・電気毛布・冷蔵庫のようにコンセントにつなぐ機器を動かすには、AC出力のあるポータブル電源が必要です。
- 在宅で医療機器を使っています。何に気をつければいいですか?
- 機器の消費電力を取扱説明書で確認し、停電が続く日数分の容量を確保してください。感震ブレーカーを付けている家庭では、内閣府のガイドラインが「分電盤タイプでも在宅用医療機器の回線は確保できない」と明記しているため、電源を別に用意しておく必要があります。停電時の対応は医療機関と機器の販売元にも確認してください。
- リン酸鉄リチウムと三元系、どちらを選べばいいですか?
- 防災用として長く保管するなら、充放電できる回数が多く熱に対して安定しているリン酸鉄リチウムが向いています。同じ容量では重くなるのが引き換えです。持ち運びを優先するなら三元系という選び方もあります。仕様表の「電池の種類」と「サイクル数」で確認できます。
- PSEマークがあれば安全ですか?
- PSEマークだけでは判断できません。交流100Vを出力するポータブル電源の本体は、電気用品安全法の対象になっていない場合が多く、対象になっているのは付属のACアダプターです。メーカーの連絡先が確かであること、リコール対象でないこと、電池の安全に関する第三者認証の記載があることを確認してください。
あわせて読む
- ポータブル電源の選び方:6つの判断の軸容量・出力・充電方法・電池の種類・重さ・保証。仕様表のどこを見るか。
- 1000Whでできること:仕様の見方800Whで何が何時間動くか。このクラスの仕様の幅と、見るときの注意。
- 500Whで足りる家庭・足りない家庭照明とスマホに絞れば3日。電気毛布などの暖房を入れると足りなくなります。
- ソーラーパネルで本当に充電できるのか200Wのパネルで実際に入るのは約135W。対応を確かめる3点と、ベランダで気をつけること。
- 停電への備え:最初の1時間、1晩、3日間時間が経つほど困りごとが変わります。電源はその3日目の話です。
- 手回しラジオの選び方情報は電源より先に要ります。乾電池が主役、手回しは最後の手段。
- 補助金・助成金 全国一覧家庭用蓄電池の設置に補助を出す自治体があります。ポータブル電源が対象かは制度ごとに違います。